日本の当時の失敗をG7で改めて浮き彫りにしてしまうということにならないようになるといいな
2008年2月8日放送
テレビ東京 ワールドビジネスサテライト
あす、8年ぶりに東京で開かれるG7、先進7カ国財務相中央銀行総裁会議、アメリカのサブプライム住宅ローン問題に端を発した世界的な金融不安に有効な対応策が打ち出せるかが焦点です。今日はサミットに臨む主要国の現状と課題を探ります。
野村証券 チーフエコノミスト 木内登英さん
アメリカはかなりのことやったわけですね。金利引き下げと減税、今日も減税、議会で可決されたと、すごいスピードである意味やっているわけですね、これからはほかの国も頑張ってほしい、というのがアメリカの考えなんですね。その矛先がどこに向かうかというと、やはりヨーロッパ、とくにユーロの利下げじゃないかなというふうに思うわけですね。これからヨーロッパ減速していくという中で、ヨーロッパの独自の問題として、金融機関の問題がもっと広がってくる、サブプライム以外のものですね、そうするとアメリカとしてはヨーロッパの金融機関にも協力してもらってサブプライムとかモノラインの問題を解決していきましょうという枠組みでやっているわけですが、その思惑が外れてしまう可能性があるわけですね、そうすると、欧州中銀にはもっと早めに利下げで対応してほしいということで、アメリカの期待はヨーロッパに向いているんだとおもいます。
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日本の不良債権問題の経験を語るということで何らかの参考にしてほしい、少しうがった見方をすると当時はアメリカに相当いじめられたんで今度はアメリカも同じ問題があるじゃないかと若干仕返しのような印象もあるんですが、これはなかなか欧米の人には受け入れられないかなあと、アメリカと日本は違うんだと、日本から学ぶのは失敗だけだ、反面教師だという位置づけなんで、ちょっと日本の思惑はここでリーダーシップを発揮したいということなんでしょうけれど、若干すれ違ってしまう、むしろ日本の当時の失敗をG7で改めて浮き彫りにしてしまうということにならないようになるといいなと思っています。
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中途半端な規制緩和というのは一番良くないので、本来規制緩和すると値段が下がって、サービスの質が良くなって、お客さんが付いてきて、業者のほうもお客さんのほうもハッピーという仕組みのはずなんですが、数量は緩和して、価格は緩和しないという中途半端なのがひずみを生むんで、ですから価格を少し自由化していく方向なのか、台数を規制していく方向なのか、どっちかを進めなければいけません。ただ、重要なのは、それを進めながらも会社のほうには経営努力を促すような、ある意味プレッシャーをかけていくということを併せてやらなくてはいけない。
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いつ起こるか分からないことに対して、どのくらいお金をかけてそなえておけばいいのか、費用と便益みたいな関係はなかなか難しいですね、体力があまりない企業はあまりお金をかけられない、そのリスク対策にですね、私は、もしかしたら、企業にとっての一番のリスクというのは目に見えないリスク、つまりレピュテーションリスク、評判リスク、不祥事をやったら企業が築いてきた信用とかブランドがなくなってしまう。それに対する対策というのは、お金はそんなにかけなくてもいいけども、便益は非常に大きいということです。これは大企業、中小企業問わず、みんなやる価値が非常にあると思うんですね、だから、不祥事が起こらないように従業員の意識を高めるとかですね、いろんな人の意見を聞きながらそういうものを未然に防ぐ、これは本当にやる価値があるリスク対策なんだろうと思いますね。
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日本の経済もう一流じゃないといわれてますが、金融資産の額でいうと依然ピカ一という話なんですね、これを経済の活性化に使おうと、1500兆円の個人金融資産を株式市場に流して、それで経済、企業を活性化させよう。そのためには税制面での工夫が必要で、今配当課税というのが10%で一時的に安くなっているんですね、それが来年の4月には、ほっておくと20%に戻っちゃうんですね、そうすると個人のお金がまた株式市場から引いてしまうということで、10%維持するとか、あるいはゼロにするとかですね、そういう思い切ったことをやって、個人の金融資産をより株式に移していってですね、それで経済を活性化するというのは重要な策だと思いますね。
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