それがどこ産であるかというチェックにお金を払いたくないにもかかわらず
2008年3月14日放送
テレビ東京 ワールドビジネスサテライト
北海道洞爺湖サミットで最大のテーマとなる地球温暖化問題、日本は議長国としての存在感を示せるのか、温暖化防止の議論がいよいよ動き出しました。
ボストンコンサルティングS 日本代表 御立尚資さん
確かに、鉄鋼とか、電力という業界、CO2がそもそも業として出やすいものなんですね。それを海外の企業と同じ業界で比べると日本は効率がいいと。これ事実なんですが、国としてはものすごくたくさん出しているんですね。実は世界第5位のCO2排出大国なんです、日本は。アメリカ、中国、ロシア、インド、その次に日本なんですね。かなり大きいんです。一人あたりで見ても、確かに日本は2003年ごろのデータですけども、一人当たり10トン、年間とも言われているんですね。アメリカは一人当たり20トンなんで、効率いいじゃないかという声もあるんですが、その年で見るとですね、例えば先進国でも、フランスだとか、スウェーデンだとか、スイスとかは日本の6掛けとかそれ以下なんですね。もっと効率いい国もあるんです。ですから、世界的な立場から見ると、日本というのは確かに悪くはないけれども、すごく5番目にたくさん出しているじゃないかと、一人あたりで見てもそれより低い国があるじゃないかと、その中でキャップアンドトレードをやるやらない、セクターアプローチをやるやらない、という議論はちょっとおかしくてですね、僕はどちらかではなくてですね、どちらもだと思うんですね。キャップアンドトレードというのはインセンティブ、市場を作って減らしましょう、これだけじゃダメなんですけど、これも有効ですと。セクターで技術の移転をしていきましょう、これも確かにいいことなんですが、それでも足りないんですね。安倍政権の時に2050年ぐらいには今の半減をしましょうと、日本がいったんですけども、ある調査によると、どれぐらいのレベルかというと、先進国は今より8割減らして、途上国も7割減らすと、それぐらいでないと駄目だと。というのは人口が激増しているんです。1950年に25億人だったのが、2000年に60億人になって、2050年にこうなると90億人、これだと一人あたりがものすごく減らさないと生きていけないわけです。ですから、迂遠なようなんですけども、あれもこれもやった上に、本当は途上国の人口問題だとか、その他いろいろ組み合わせてようやく出来ると。特に2050年まで待たずに、これから10年から15年の間にピークアウト、これ以上は増えないというふうにしないとコントロールできないと言われてますから、早くそこまでやるためには、できることは全部やると。確かに今のヨーロッパのキャップアンドトレードがベストだとは思いませんけど、やりながらいろいろ工夫していくという、そうゆうスタンスに立たざるを得ないんではないかと思うんですね。
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いろんな偽装の問題があるんで、もっとチェックしろ、厳しくしろと大号令、大合唱ですよね。ちょっと怖いなというところがありましてね。我々自身、プロキシーという言葉があって、代替指標、代わりになる間接的な指標でものを判断するんですね。例えば、原産地表示って、それが安全かどうかと直接全く関係ないんですね。中国製だからすべて悪いというわけではないし、国産のものがすべて安全で品質がいいというはずはない、あたり前なんですけど、そこにどんどんコストをかけているというのは、本当にいいんだろうかと。本当に直接安全かどうか、例えば、残留農薬があるかどうかにきちんとした検査が行われて、それを見るということに関してはGメンがいらしたり、検査機関があったり、そのコストは我々直接の指標に払いたいんですね。結局、何にコスト払っているかというと安全であることのチェックに払っているんで、それがどこ産であるかというチェックにお金を払いたくないにもかかわらず、今の法律の仕組み、問題があった時にもっともっと調べようというふうになっていくとですね、どうも関係ない間接的な指標にお金を払うことになるんですね。もちろん偽装はいけないことですし、そういうことをした企業は社会的制裁を受けて経営が成り立たなくなる、これはあると思うんですが、それと官の組織で全部チェックして安全を担保していくという話は少し分けて考えたほうがいいんじゃないでしょうかね。
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