買い手はほとんど限定的ということですので水準が下がるところでの出会いが付いているということで残念な動きにはなっている
2008年3月10日放送
日経CNBC マーケットラップ
経済解説部 中嶋健吉さん
先週金曜日から現物の売りですね、これは多分ヘッジファンドの売りではないかと言われているんですが、これが間断なく出ているということで、一方買い手はほとんど限定的ということですので水準が下がるところでの出会いが付いているということで残念な動きにはなっているなという気がしますね。
冒頭申し上げましたように先週金曜日からロングアンドショート型ファンド、いわゆるマーケット中立型ファンドと言っていいんでしょうか、これのポジションを閉じる動きがかなり具体化しているということがマーケットの中で噂として出ていたわけです。これは売り切り買い切りということで出るわけですから、金曜日の終値に対して、例えば今日あたりですと4%以上での買い注文、4%以下での売り注文などが寄り前の段階からかなり広範囲に出ていたというふうに言われています。こうした動きが現実の問題としてあるというのが、どうやら裏付けられたというのが市場関係者の見方は一致しているようです。例えば、今日あたりの個別の銘柄をみていきますと、たぶん買い戻しが幅広く入ったんでしょう、寄り付き段階から大変しっかりだった資生堂、松下、あと例えば三菱自動車でしょうか、そして京セラ、このあたりは終日大変しっかりした動きだったわけですが、このあたりは間違いなくそうした意味での買い戻しというふうに言われています。反対に、このところ市場を牽引してきました非鉄金属ですね、後場一段と下げ幅拡大ということになりました。とくに特徴的なのは住友金属鉱山ですね、これ瞬間的に2000円を割り込んできたということになります。となりますと1950円近辺にあります25日移動平均が視野に入ってきたということで、かなり微妙な水準に入ってきた。さらに商社、船株、このあたりは非鉄もしくは新興国関連ということでマーケットを牽引してきたセクター群ですが、依然この水準でも利が乗っているということもあるんでしょうか、かなり大きく売りの対象として売り込まれてきたということになります。こうした動きというのは、まさにヘッジファンドがそのオペレーションを閉じるという動きにつながるわけですが、なぜこうゆうことが起こり始めてきているかということについてはいろんな意見があるようです。ただ一つ言えますことは、プライムブロークという形でアメリカの証券会社、ヘッジファンドに利便供与をやってきたわけです。具体的に言いますと、執行を代行して行うのは当然としまして、それに伴う貸株、さらには私融資、そして為替予約、最後の受け渡し等々、すべてを代行してやるというプライムブローカー、その節々でさやを抜いていくというのがこのビジネスのうまみであるわけですが、ただ一方証券会社にとっては大変大きくリスクアセットをもつということになるわけです。このところのサブプライムローン問題で大きくリスクアセットが問題になっている中で、これ以上のリスクアセットは持てないということでこのポジションを大きく減少させる動き、これがヘッジファンドなどがそのポジションをやむなく小さくするしかないという動きにつながっているのかなという気がします。さらにヘッジファンド向け融資ですね、これにつきましても担保不足が発生しているということで、それの主担保が出せない場合、ファンドそのものがオートマチックに解約されてしまう、もしくは解消されてしまうということで、このあたりもひとつ大きなポイントになっているようです。実はアメリカの金融当局が一番恐れていますのはまさにこうした形でヘッジファンド向けの資金のサイクルですね、これが止まることであると言われていますので、直近発表になりました雇用統計の悪化、これを受けて即座に資金供給を拡大したというのはどうやらこのあたりの流れを止めないという金融当局の意思が明確に出たということではないかと思っています。
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