ショートバイアスの強いヘッジファンドのお化粧売り
2008年3月31日放送
日経CNBC マーケットラップ
経済解説部 中嶋健吉さん
もう少し行くかと思いましたけれど、ちょっと期待外れだったのかなという気がしますね。3月末、期末ということで、俗にいうお化粧買いですね、この期待値、朝から非常に強かったということですよね。これは何も株に限ることではなくって、あと債券だとか、為替、これにも同じような思惑があったのかなという気がします。債券先物見ておきますと、前場も寄り付きのあとから急伸ということになっているわけですよね。141円13銭まで上昇しているわけですが、3月18日には142円、これが過去5年間の高値ですから、あっという間に高値近辺までの上昇と。ただ、寄り前の2月の鉱工業生産指数、市場予想のマイナス2.2に対してマイナス1.2だったと、かなり悪化の度合いが緩和された数字が出てきたわけなんで、通常ですとこれは債券に対してはネガティブとなるわけですが、今日は全く意に反せずに、一挙に債券が買われてしまったというパターンですよね。さらに為替ですね。これも債券と同じような動きになっています。寄り付きのあと一気に円安という局面で、ある意味では債券と連動する形で動き始めているという感じになります。ふつう、債券が強い時には為替は強い、円高になるのが普通なんですが、今日は債券高、為替安という感じになっているということで、これも何か思惑の動きがあったのかなあと思わざるを得ない感じがします。そして、株に関しましては、何といってもお化粧買い期待が強かったということで、ディーラー筋が朝からポジションを高めに持ったと、これが一番大きいですよね。それで今日は31日ですんでね、ディーラーは最後はポジションをゼロにしなければいけないということで、後場寄りから一気に売り物が出始めたという感じになります。ただ、2時半ごろからは、債券があまりに急伸し過ぎたせいでしょうか、債券が売られ、株が買い戻されるという、どちらかというと逆裁定の動き、これが出てきたわけですけども、通常ですと、債券がこれだけ急落しますと株はもう少し買われてもいいんですね。ところがそうはならなかったという、これはなぜかといいますと、全体的にはTOPIXコア30銘柄、いわゆる主力銘柄ですね、これが圧倒的に売られたということだと思います。率から言いますとコア30が何とマイナスの3.19%ということで、大型株指数マイナス2.91、これすら大きく上回っているということですね。これは一つの見方としまして、31日の末ということで、ショートバイアスの強いヘッジファンドのお化粧売りですよね、これが広範囲に出たんではないかとか、あとは期末特有の資金の入り繰りですよね。ある程度のキャッシュポジションを持たざるを得ない。そのためにはどうしても流動性の高いコア30を売るという、それが出たんではないかと。仮にそうであるならば、季節限定ということになりますんで、この流れがあす以降も続くとみる関係者は少ないんですが、これも今日のニューヨーク次第ということでしょう。
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