先物現物が並行して動き始めた
2008年4月7日放送
日経CNBC マーケットラップ
経済解説部 中嶋健吉さん
まあ、何といっても米国の雇用統計でしょうかね。あれがこうゆう形で来た割にはしっかりだったなという気がしますね。3月の米雇用統計、まさに悪化したわけですよね。そして3カ月連続の雇用減となりました。一般に米景気の後退入りといいますのは、3カ月連続で雇用者数が減少した時と言われていますんで、これは間違いなく景気後退局面入りだと言われているわけです。ただ、ポイントは1ー3月連続で3カ月雇用減になったわけですが、一月あたり平均して77000人当たりの減少ということになっています。過去の景気後退局面、例えば1990年の場合、このときは1カ月平均111000人、さらに2001年の景気後退局面では118000人ということで、かなり大きな数が減少しているんだということになりますので、今回77000人程度なら、意外と景気後退局面も浅く、そして短いんではないかという楽観論が出始めたというのが大きなポイントです。悪い数字が出ても、こうした楽観論が出る市場心理の変化、これが感じられるわけですが、まさにこの動きを受けた東京マーケットの流れではなかったのかなという気がします。東京マーケットも結局安く始まったものの、そのあとはじりじりと水準を切り上げる動きになっているわけです。前場段階では先物が先行して買われるという大変強い展開でありました。ただ、現実の問題として現物株ですね。この動きが先物に追随しえなかったという、このあたりが今一つマーケット関係者から自信を持てなかったところではないかと思います。例えば、前場段階での鉄鋼株、そして140,50円も急落しましたトヨタの動き、そしてだらだらと下げた銀行株ですね。こうした動きをみておりますと、後場から不統一な動きが修正される、言い換えれば、現物株が一段と売り込まれるんではないかと、こうゆうふうな見方を取る関係者が非常に多かったのもまた事実です。いよいよ後場が始まったわけですが、先物主導でさらに水準が切れあがったというのが現実でした。いったいその背景には何があったのかということですが、基本的には円安に傾いたということもあるんですが、それ以上にこのところ急落してました上海株ですね、これが何かしっかりと立ち直りの気配を見せ始めた。どうもこのあたりがマーケット関係者の中に浸透し始めたのではないかという気がします。このチャート、最後のほうでこつんと来たような気がします。そうしますと、今までアジア株ショート、そのヘッジとして日本株ロング、その日本株現物のヘッジとしての先物ショートと、こうしたものが一気に巻き戻しとして入ってくる可能性があると。朝の段階で先物が買い戻されて強かったと。ただ、現物がロングが売り戻されるという形で安かった。どうもこうゆう流れがあったということで、現物が先物に追随できなかったということですが、後場からはその動きも一巡した後、先物現物が並行して動き始めたと、こうゆうパターンになったのではないかと思っています。
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