スペインの死角は選手がいなかったことですね
2009年7月12日放送 BSフジ FIFAコンフェデレーションズカップ 南アフリカ2009 総集編
サッカー解説者 風間八宏さん
まとまるであろう選手をドゥンガ監督はセレクトしていますね。すごくいいチームになって、非常にブラジルらしくないと言えば、らしくないんですけれども、比較的ブラジルが強い時というのは、そういう時ですね。だから、カカ以外はポジションを移動しないでしょ。やっぱり縦のところで、ちゃんと勝負する。シウバが中盤の一番後ろにいて、今回はルイゾンとルシオでしたけれども、その前はほとんど固定でね、動かない。それから、両側の中盤の選手が中にすっと入ってきて、それをサポートする。後ろの安定ですね。中盤から後ろの守備の安定というのが、このチームの強さで、安定してこの大会を勝ち抜いていった理由だと思います。
イタリアは過渡期にあるなという気がします。というのも、強い守備ということが、今、なかなか世界中ですけれども、簡単に成立しなくなってきた。そこがあって、なおかつ選手、特に後ろの選手の高齢化ですよね。高齢化というのは、年をとっているから悪いのではなくて、相手がいろんなことが分かってきたということもありますので、そこに少し頼ることができなくなってきた。そして、もう一つは、点を取る術、強いチームというのは、取られても取り返せるチームなんですね。そこのところで、点を取る選手、あるいは点を取るイメージ、それが他の国に比べたら少し乏しいというか、劣っていたのかなという感じですね。
これは失敗ではないと思うんですよ。この中で、何を重視しているかといえば、たぶんこの大会もそうなんですけれども、それ以上にワールドカップ予選だと思うんですね。イタリアというのは、まだまだ人材がいるところですから、これから変化は1年あればつけられると思うんですね。そこのところは計算にあるんではないかと思います。今、イタリアが駄目だから、ワールドカップはピンチかなというと、僕はそうではないと思います。
スペインの強さは、簡単に言うとボールを失わないということですね。当然、ボールを失わなければ、相手が持っている時間が少なければ、当然守備の時間も減るわけですし、ミスが出る可能性も減るわけですから、これは当たり前の確率論だと思うんですね。
安定した強さというのはどういうことかといえば、メンバーが豊富だということ、それから攻撃のバリエーション、それほどあるのかなというのは、その先を見てみなければわからない。このチームは、ボールを持つのは上手いですけれども、やはり点が取れるかどうか、これが当たり前ですけれども、勝負なんで、その次の相手と戦うとどうなのか、あるいは、相手がいろんな戦略を立ててきた時にどうなのか、まだわからないなというふうに思いました。
アメリカは負けてもいいわけですから。負けてもいい戦いというのは楽です。そこで、試合の前に、エジプト戦以外考えることはないですから、そういう意味では、比較的難しくないということですね、目的を設定するのは。それしかないから。
スペインの死角は選手がいなかったことですね。たぶん彼らが日常やっているレベルだとちょっと選手が足りなかったのかなと。何かというと、ペナルティの両サイドは崩すんですけど、一番前の中央の部分ですね、中央は広いですけど、一番広い辺のところから入っていけなかった。アメリカはフェルナンド・トーレスを潰すこと、要するにフェルナンド・トーレスも多少スペースを使う選手なんで、そこのところで二人で挟んだり、あるいは走れないようにしたり、それからひとりはシャビのところにしっかり規制に行った。その一つしかないということで、もうそのホットラインを止められてしまった。これが敗因だと思うんですね。
当然、日本のレベルも上がっていると思います。それから、日本のやることもはっきりしてきて、すごくよくなってきていると思います。ですけれども、トップの選手たちがいつもどれだけの精神状態の日常の中でやっているのかということを理解して戦わないと、その差というのは縮まらないんじゃないかなと思いますね。
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