選ばれたら行きますとか、その程度ではやっぱり駄目ですね
2009年7月18日放送 NHK BS1 サッカー日本代表監督 岡田武史 W杯ベスト4への挑戦
町中を自由に散歩したりできない。ヨハネスでもやめてくれというふうに言われていると。そうすると、1カ月近くキャンプするわけですよね。男ばっかりで。その時に、メンタル的にどうしてもダウンしてくるようなところがある。そういう意味で、施設の中で気分転換できたり、散歩ができたり、ちょっとリラックスできるような、そういうことが一つ。一番大事な練習ピッチですよね。練習グラウンドがあること。そして、あとは気候。気候が寒いところでキャンプしていて、練習行くのもああ、練習も盛り上がってこないというよりも、ある程度、練習に行った時に気持ちが明るくなるような、顔をあげて、よしやろうというような、そういった気候というのも大事だなと持っているんで、そういうのを基準に決めましたね。
僕は単に彼らに問いかけるだけで、こっちからやってくれということは、いったようなことで、あとは、実際になぜやらなければいけないかというのは、強豪チームと試合をしたらわかると思うんですよ。なぜそれをやらなければだめかというのを頭でそうかもしれんなではなくて、実際に試合をやってみたら、やっぱりこいつらとやるにはこれが必要なんだというのを肌で感じてもらいたい。そのためには、強いチームとボロボロにやられてもいいから、少々コンディションの良くない状況でも、出かけていってでも、試合をしたいというふうに思っているんですね。
このチームは非常に、今まで僕が持ったチームの中では、妙なというか、面白いチームで、強烈なリーダーシップを持った選手というのは正直それほどいないんですよ。ところが、妙にみんなが役割分担というか、例えば、円形のテーブルがあって、食事する時に、ばらばらばらとではなくて、きちっと座っているんですよね。それなりのみんなのポジションが決まってきて、格付けではないですけれども、なんとなくきちっと収まっちゃっているという感じがするんですよね。ある時は中澤がリーダーシップを発揮しているな。1人がずっとチーム全体を纏めて、強烈に引っ張って行っているんではなくて、闘莉王が大声を出している時もあれば、俊輔が攻撃の時にみんなに指示を出している時もあるし、ヤットがいっている時もある。何かそのバランスが非常にいいんですよ。
技術面でパスの精度、パススピードをあげていかなければいけない。攻守にわたって、ボール際の強さ、速さ、1体1で向かい合った時の、攻撃、守備、これは絶対的に上げないと話にならないと。それを補うための運動量をあげていくと。僕らはベスト4に行こうと思ったら、ロナウジーニョやメッシとやるんだと。1対1で向かい合っていて、はい頼むよでは、抜かれるんだからと。追いかけてこいと。そして、抜かれたら、そいつがまた行くと。抜かれたらまた戻ってくる。何回も行くんだと。そうしないと、ディフェンスにおいては無理だよと。攻撃においても、1対1で抜いてくれといったって、相手はセルヒオ・ラモスとか、そういうレベルのやつが来るわけだから、そうしたら、もう一人が追い抜いていかないと無理だろうと。ただ、我々が今やっている切り替えの速さだったり、サポートの速さというのは、あの中に行っても、こいつらよりも速いなという感じを受けていますから、そういうところをあげていけば、チャンスはあるんじゃないかというふうに思っていますね。
それはやっぱり、今、基本的な技術であったり、戦術眼であったりがあるのが当然。その上で、本当に勝負のかかった試合で、こいつを使えるかなと。要するに信頼感、どういう信頼感かというと、代表に選ばれて、試合に出るだけで、俺すごい満足していると。それじゃ、困るわけなんですよ。俊輔なんかは、このワールドカップにかける気持ちというのは全然違いますからね。どんなことがあっても、このワールドカップでという強い。それと、代表に選ばれた、嬉しい、試合出た、これじゃあ勝負にならないんですよ。そういう意味で、若い選手であれ、本当に公式戦で、よし使ってやろうと思わせるぐらいの代表チームに対する気持ちというか、勝つことに対する気持ち、ワールドカップに対する思い。選ばれたら行きますとか、その程度ではやっぱり駄目ですね。
究極といったらおかしいですけれども、最後は頭でサッカーをやらせたらだめなんですよね。ブラジル人の監督が、何もしないとかよく聞くけど、彼らは経験則で知っているんですよね。理屈はあまりい過ぎたら、選手を殺すということを。そういう意味で、ヨーロッパの監督なんかも、相手がこう来たらとか、そんなふうになるわけがないじゃないかとか、よく言われていたけど、昔は。僕もちょっと分かってきたので、そういう話はほとんどしないですけれどね。
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