家で子育てをしている若い女性の方で、安心して預けえれる保育所があれば、働きたいかという質問に、8割の方が働きたい
2009年10月30日放送 NHK総合 特報首都圏
待機児童は解消できるか
佛教大学社会福祉学部 教授 岡﨑祐司さん
保育ニーズというのは、認可型の保育所が増えれば、需要が喚起されて、ニーズが増えるという関係にあります。日本では、3歳児未満の若い女性の就業率というのは、実は28%です。欧米では6割が普通なんですね。では、日本の若い女性は働く気持ちがないのかというと、そうではなく、実は内閣府の調査によると、家で子育てをしている若い女性の方で、安心して預けえれる保育所があれば、働きたいかという質問に、8割の方が働きたいというふうに答えているということなんですね。ですから、潜在的な保育ニーズが大きいということです。ところが、保育所の設置数を見ますと、全国的に見て、1985年から2009年までで、だいたい260か所ぐらいしか増えていないんですね。ですから、ずっと保育所の設置が抑えられてきたと。だから、待機児というのは、今始まった問題なのではなくて、一貫して大きな問題だったということです。今、若い人が多い地域では、保育ニーズが高まって、こうした政策のツケが矛盾として噴き出していると言えると思います。
今、保育所の整備を怠れば、少子化が進んで、さらに地域の活力が失われるということで、私は悪循環に陥ると思います。保育所を増やして、そのあと子供が卒園したらどうなるのかという懸念もあるかもしれませんが、そういう消極的な考え方ではなくて、保育所を増やして、そうして保育所に入ってくる子どもを増やす、つまり、産み育てやすい地域社会を作るということですね。従来の発想を転換して、積極的な政策転換をしていく必要があると思います。ですから、保育所だけではなくて、産科医療、小児科医療、あるいは若い人が住みやすい住宅も含めて、安心して子供を産み育てやすい地域社会を作ると。そのために、保育所を中核の施設として位置付けて、町づくりを行っていくと、こういう発想の転換が今必要だと思います。
これは今後の保育政策を左右する非常に大きな問題なんですね。いわゆる規制緩和ですね。基準をより低下させるということで、これをやりますと、いっそ今よりも利用しずらいというような状態になるのではないかというふうに思います。本当に保育を必要としている住民の声ですね。これを切実に受け止めて、自治体は積極的な政策をとる必要があります。さらに、国も地方自治体任せにするのではなくて、思い切った財政措置をとって、待機児も解消策をとっていくと、こういった積極姿勢が求められ得ていると思います。
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