日本というのは、世界の動きとは全く独自で、簡素の美というのに到達しているんです
2009年9月28日放送 NHK総合 爆笑問題のニッポンの教養
シンプル最高/再考
グラフィックデザイナー 武蔵野美術大学 教授 原研哉さん
室町中期ぐらいの日本というのは、結構豪華絢爛な文化だったんですよ。中国の影響やローマの影響やインドも。だけど、それがそうでなかった事件が起きたんですね。それは何かというと応仁の乱という。応仁の乱というのは、今でこそあまりそう言われませんけれど、とても大きな戦争で、明治維新とか、第二次大戦の敗戦に匹敵するぐらいのとても大きな出来事だったんです。
当時の将軍の足利義政というのは、とても美意識の高い人で、政治力はなかったんですけれども、美意識の高い人で、がっかりしちゃったんですね、焼けて。がっかりしちゃったんで、跡目を息子に譲って、自分は京都の東山に隠遁しちゃうんですね。そこで今の銀閣寺、慈照寺というところに入って、そこで茶の湯とか、書とか、そういうものに端的していって、過ごしていくんですけれども、その周りにふわっと新しい文化が生まれてくるんですね。その中に、簡素の美というのがあるんですね。
義政の書斎です。同仁斎と言われているもので、和室と呼ばれている原型がすべてここにあります。そういうところから、日本の美意識は全く新しく生まれ直してくる。そこで生まれたのが、簡素の美なんですね。ですから、ヨーロッパ発のシンプルというは、世界全体に伝播していく近代社会と一緒に生まれてくるシンプルなんですけど、日本というのは、世界の動きとは全く独自で、簡素の美というのに到達しているんです。ここがとても面白い。
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