ドストエフスキー文学の中の最大のテーマというのは、黙過というテーマだと思っているんですね
2009年11月17日放送 NHK総合 爆笑問題のニッポンの教養
ドストエフスキーより愛をこめて
ロシア文学 東京外国語大学学長 亀山郁夫さん
断ち切られることの孤独とか、恐怖を経験している段階なら、まだ、救いがあるんです。しかし、母親の記憶もない、母親の愛情の記憶もない、としたら、その人間はどこに行くことになりますか。僕は、それが今、本当に確実に増えていると思うんですよ。そして、ドストエフスキー文学の中の最大のテーマというのは、黙過というテーマだと思っているんですね。黙過というのは黙って見過ごすこと。誰がどこで何が行われようと、例えば、そこでいじめがあろうと、誰かがそこで殺されようとしようが、どんなにかわいそうな人がいようが、黙って見過ごしてしまう。それを黙って見過ごすならば、いいけれども、他人の死を願望するとか、そこまで踏み込んだ黙過ってあると思うんですよ。
それぐらい傲慢に構えている人間がそこに存在するんですよ。そういう人間が、やっぱりこの日本の中で、一人、また一人と増えていっている気がして仕方がないんですね。
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