あの時も全く同じパターンですよ。マスコミが騒ぎたてて、非常にいい政策、ワクチン政策を駄目にしたんです
2009年11月3日放送 NHK総合 爆笑問題のニッポンの教養
新型インフルエンザの真実
東京大学医科学研究所 教授 ウイルス学 河岡義裕さん
基本的には、インフルエンザで、熱が出て、異常行動というのは、そういうのはあるわけですよね。たまたまタミフルを飲んだときに、そういう例もあったということで、一応調査も行われているんですけど、結論がまだ出てないと。ただ、大事な点というのは、タミフルを飲んだせいで、そういうふうになったというのが出てくると、調査しないといけないじゃないですか。その間、どういう状況かというと、10代にはタミフルは投与しないということになっていますよね、一応。一方、投与すれば助かった方、重症化しなかった方もいっぱいいるわけですよ。そこは全然評価されていない。それは割と大きな問題。
大事なことがあって、ワクチンというのは、副作用とか、副反応のないワクチンって、ないんですよ。かなり重度のワクチンによる副作用というのも報告されていて、たとえば、100万人に一人とか、というのがあるわけですよね。今回、国内産のワクチンが2700万人打つわけですよね。そうすると、単純計算で、絶対重度の副作用というのはあるわけですよ。そこを受けるほうの人たちはちゃんとしっかり認識していないといけないし、マスメディアの人たちもちゃんと認識していて、ただ出たからと言って、騒ぎ立てると、ワクチン対策そのものが成り立たなくなるわけですね。
日本の場合には、インフルエンザワクチンを学童の集団接種でご存知ですか。子どものときに、みんなワクチンしていたんですね。あれの効果に疑問を出した人がいて、それをマスコミがワーと騒ぎ立てて、最終的にどうなったかというと、学童の集団接種って、なくなったわけです。一時全然ワクチンが打てない。そのあと、特養ホームでのインフルエンザの集団死が問題となって、高齢者でのワクチンが復活したわけですね。結局、そのあとの調査でどういうことが分かってきたかというと、学童の集団接種をすることによって、世の中にいるインフルエンザの数を減らしていたんですよ。そうすることによって、お年寄りにかかる割合、確率を減らしていた。それが今ようやくわかってきたわけですよ。あの時も全く同じパターンですよ。マスコミが騒ぎたてて、非常にいい政策、ワクチン政策を駄目にしたんです。
水際作戦にしても、あれをやることによて、ある程度時間は稼げたし、関西で流行があったときに、学級閉鎖とか、休校とかあったじゃないですか。あれに対する反論とかもいっぱいあったんですけれども、あれのおかげで、流行がバンと下がったんですよ。あれがなかったら、医療現場、破たんしていたかもしれない。そこで、医療現場が整うことができたわけですよね。準備ができた。それはすごく大きいんですよ。世界中でものすごく評価されているんですよ。ほかの国は何もせずに野放しで、ウイルスがどんどん広がっていくんですよ。関西は、ウイルスの流行がピークになったところで、かなり大きな地域で休校し、さらに集会の中止をやって、患者一挙に減っているんですよ。世界的にはすごく評価されているんです。日本人の几帳面さがあるから、成立するんですよ。
鳥インフルエンザ怖いですよ。問題は、豚由来のインフルエンザが流行したことで、インフルエンザの現場の人たちは、そちらに集中せざるを得ないんですよ。手薄になっているんですよ。それは非常に怖いんです。人から人にはいっていないんですけど、人には感染しているんですね。今、対策というのは、豚由来のインフルエンザにシフトしているんです。そこでちょっと気をつけないといけない。
すべてのものを駆逐してしまうような病原体って、たぶんないんですよ。感染症って、100%ではないので、どういう状況でも。何か残るんですよ。我々が知らないウイルスって、いっぱいいるんですよね、我々人間が触れていないだけで。これからどんどん森林破壊とかで、人間が接すれば、今まで知らなかったような病気が出てきますよね。
本来ならば、人間が接しなかったような動物とかに接することによって、人が感染する。もうひとつは、交通網だと思うんですよ。本来は風土病で終わっていたものが、社会が開かれているので、いろんなところに広がっていくと。
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