企業が栄えれば、私たちみんな幸せになると、こういうふうに思ってずっと来てしまったというところに、大きな問題があったのかなというふうに思いますよね

2010年1月8日放送　ＮＨＫ総合　特報首都圏

働き方は変えられるか

ジャーナリスト　江川紹子さん

ここずっとグローバル化というのがあって、その中で、国際競争力を維持していく、あるいは向上させていくためには、それが一番大事なことなんだということを企業の人たちから言われると、もうそれがほとんど印籠のような存在になって、私たちは、それを見せられると、はあとこうべを垂れて、思考停止状態に陥ってしまうというのが長かったと思うんですね。そのために、生産性を向上させる、あるいは、コストをカットする、規制緩和をしなければいけないというのは、まるで呪文のようにずっと唱え続けられていた。ただ、その呪文にうっかりかかってしまうという私たちほうも、やっぱり問題だったかもしれないというふうに思うんですよね。ずっと企業が儲かれば、みんなが豊かになって、国も栄えると、こういう確かに現実だった時期もあるんですよね。でも、それをずっと引きずっていて、そのイメージの中で、やっぱり企業が栄えれば、私たちみんな幸せになると、こういうふうに思ってずっと来てしまったというところに、大きな問題があったのかなというふうに思いますよね。

私たちはＧＮＰをどんどん高めていくと成長していくんだということが繁栄や幸せに繋がるというふうに思っていたけれども、単に成長ではなくて、もっと成熟させていくという方向に私たち自身が意識的に価値観を変えていきたいというふうに思うんですよね。そういうふうにする、今が最大のチャンスでもあり、あるいは最後の機会なのかなととも思うんですよね。
やっぱり誰かにお任せではなくて、私たち一人一人の価値観を変えていくということがやっぱりこれから大事なのかなということを私自身は考えています。