私は本来は補助金を堂々と払って、やる気のあるところにやってもらうというのが筋だと思います
2010年1月23日放送 NHK総合 追跡!A to Z
JAL経営破たん 日本の空はどうなるのか
国土交通省成長戦略会議 座長代理 御立尚資さん
もし本当に再建をしようとすると、止まるリスクをどうやって避けるかなんですね。スイス航空、これは二日間止まったことで、結果的に再建がかなわなくて、会社清算ということになったんですね。銀行の場合ですと、最近、破たんのプロセスというのがルール化されて、きちんと週末にやって、月曜日にはやると。なぜかというと、一旦取り付け騒ぎが起こると、どんどん燎原のように広がっていって、思ってもみないことが起こるんですね。航空会社も実は同じでして、世界中に飛行機飛んでいますよね。たとえな、上空を通るだけでも、その通過料な様なものをある国が取っていると。これを取りっぱぐれてはいけないから、もうその飛行機飛ばすなと。どの国かがやると、それを真似して、取り付け騒ぎと同じようなことが、どんどんと広がっていくと、想像もつかない連鎖反応があると。これを防ぐためには、きちんと国をあげてサポートすること、再建するからにはとにかく止めないんだということを第一にすると、これが大事だったんだろうと思いますね。
なぜ赤字路線があるのか、というところと、どうするのかというのは二段階で考えた方がいいと思うんですね。本当は健全な赤字というのがあるはずなんです。しばらくやり続ければ、お客様がついてきて、観光が出てきてみると。ただ、問題なのは、これを理由にどうしても残したい、何というんですか、右肩上がりの癖が航空行政にも、航空会社にも若干あったのは事実だと思うんですね。といいのは、今までの空港と航空行政というのは、極端ないい方をさせていただくと、一種のどんぶり勘定奨励なんですね。儲かる路線の権益をあげますと。したがって、それで儲からない路線もやっておいてくださいと。こちらからこちらで上手くやっておいてくださいというやり方の中で、国内に98も空港を作ってしまい、そこにできるだけネットワークを維持してきている航空会社には、そのメリットとして、例えば、非常に貴重な羽田の発着枠というのは足りないんですけれども、これを配るときに、ネットワークを隅々まで持っているところについては、プラスのメリットをわざわざ点数として与えますと。他でいいことがありますよと、これが仕組み化されていたんですね。そうすると、なかなかそれがあるんだったら、ぎりぎりまでやろうじゃないかと。もちろん業としての成り立ちからして、公共性へのこだわりもありますので、そんなに簡単にはやめられないというのもあったとは思うんですけれども、やっぱりこれは一回再生するわけですから、筋肉質になるしかないので、はっきりと黒字路線にだけに絞り込むといおうことがまず必要と思います、JALにとっては。ただ、問題は、JALをどうするかよりも、本当に必要な路線が維持されるかどうかというのが利用者にとって大事なことであって、これは本来はJALが撤退したとすると、本当に必要な離島線、大変な生活路線ですから、自治体そのものも含めて、何らかの形で、堂々とこういう補助金を払いますと。手を挙げたい航空会社があれば、この補助金の条件の中でやるところに、ぜひやってくださいと、そういう形を、例えば、地方の方ご自身が、地方自治の中で、自分がこれを支えてくれるんだったら、こうやって税金使ってもいいやと思えるような形でやると、これが一つのやり方と。もうひとつ別のやり方は、我々の携帯電話の請求書を見ると、ユニバーサルサービスというのに対して、自分たちはお金をっ払っていると書いてあるんです。儲からない、隅々のところをやるために、数十円、我々全員払っているんです。このように、もうひとつのやり方は、航空を利用する方すべてが、地方の路線を維持するために、自分は一体いくらづつ払っているかが見えると、これもあると。ただ、私は本来は補助金を堂々と払って、やる気のあるところにやってもらうというのが筋だと思います。
日本の航空全体が世界の常識からずれていることが三つあるんですね。一つのは、今どこも燃費のいい中小型機を中心に、お客様にさらに利用率を高めていただくと。これはJALも全日空も含めて、それが全然できてないですね。世界のトップの航空会社に比べると、利用率が低いです。これはひとえに首都圏、成田、羽田の発着枠が足りなくて、したがって、枠が少ないんだから、大きいのにしておこうというこういう勢いがついてしまったんですね。二つ目は、国際提携、アライアンスと言われますけれども、ここ十数年の間に、サーズがあって、9.11のテロがあって、そしてリーマンショックがあって、国際線というのはいい時はものすごくいいんですけれども、悪くなると急に悪くなると。リスクが上がったり下がったりする。これをやっていくうえで、巨大なネットワークをやるうえでは、普通の業界ですと、国を越えたM&Aがとっくに起こっているはずなんですね。ただ、国益の問題があるので、そういうことができないので、今アライアンス、企業提携ということで、あたかも一つの航空会社をやっているかのように、世界中の航空会社が手を握るグループができていると。これを本当に活用すると。これが今までできていなくて、ようやく全日空がそれをやろうとしていますけど、JALもそれをやらざるを得ない。三つめは格安航空会社です。利用者からすると、航空会社を守ることが我々にとっていいのではなくて、経済のインフラですから、便利で、中小型機でたくさん飛んでもらって、自分がユニクロのように、シンプルで、でも安ければいいというときは、それを選べると、そういうのがあればいいと。その三つをどうやって経営の中で生かしていくか、やれるかどうかということにかかってくると思いますね。
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