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必ずどっちを選んでいいのかわからないとか、混沌とした場面の時に何を選ぶかというところで、非常に自分の持っているものを出せる

2010年4月27日放送 NHK総合 爆笑問題のニッポンの教養

本当の強さって何? 

棋士 羽生善治さん

人間の思考とコンピュータの思考って、全然違うんですよ。人間の思考というのは、基本的に強くなればなるほど、たくさんのことを考えなくなるんですね。余計なことは全部排除して考えないようになる。コンピュータが強くなっていくプロセスというのは、実はどんどん計算量を増やしていって、1秒間で一万手で駄目なら百万手。百万手で駄目なら一億手でというふうな強くなり方なので、思考のプロセスが全然違う。でも、人間はそういうことを省略するという凄い能力があるので、そういうところを伸ばしていきながら、個性も出すというようなところですね。

私はそういう羽生流とか、そういう作戦というのはあまりないんですね。どっちかというと、今までにあったものに対して、修正を加えてやるという方なので、あまり突飛なことは、たまにやることはあるんですけれども、基本的には割合セオリーに忠実な方だと思いますね。

必ずその答えがないとか、答えがわからない場面ってあるんですよ。必ずどっちを選んでいいのかわからないとか、混沌とした場面の時に何を選ぶかというところで、非常に自分の持っているものを出せる。そういう場面だからこそ出せる。
 
将棋を研究とか、練習とかでやって、朝からやっていると、あっという間の夕方になっちゃうんですよ。本当にこれでいいのかと思う時、ありますよ。本当にこんなふうに過ごしていて、いいのか。こんなことして過ごしていたら、あっという間に人生終わっちゃうとか思いますよ、やっぱり。でも、ただ、ここが面白いんですけど、将棋は今のルールになってから400年続いているので、それでもわからないということは、それだけうまく精巧にできているので、まだまだ見つかっていない未知のものがあったりとか、自分がこういうことを盤上で表現したいんだということをいろいろな表現したい余地がかなりある。

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