すでに今年度末に日銀が保有する国債は300兆円という中で、日銀の自己資本は3兆1000億円しかありませんから、そうすると巨額の将来償還差損が出ることで中央銀行が債務超過になる恐れがある
2016年2月8日(月)ワールドビジネスサテライト
クレディ・スイス証券 チーフ・マーケット・ストラテジスト 市川眞一さん
間違っていると思いますね。3つ理由があります。一つは日銀自身が物価上昇2%を達成できない理由として原油価格の下落であるとか中国の景気減速といったようなものをリスクファクターとして挙げていると。そうすると、国内でマイナス金利を取って、そこに対応できるのかというとそういうわけではないということが第一点ですね。二つ目は今までもなぜ日銀の超過準備のところに当座預金のところに日銀が供給したマネーが戻ってきてしまっているかというと、それは国内に資金需要がないからなんですね。そこでさらに日銀が今後積み増されるであろう超過準備のところにマイナス金利をかけて手数料を取るということはすでに始まっていますけれども、これは国債に大量にお金が 流れ込んで国債バブルになってしまいますね。金利形成が適正でなくなっていくということが二点目です。三点目ではまさに二点目にかかわるんですけれども、日銀が今年間80兆円の国債を買っているんですけれども、いくらで買っているかなんですよね。額面で買っていればいいんですけれども、高い値段で買っていると、保有している間は別に損は出ませんけれども、最後償還時に差損が出るんですね。すでに今年度末に日銀が保有する国債は300兆円という中で、日銀の自己資本は3兆1000億円しかありませんから、そうすると巨額の将来償還差損が出ることで中央銀行が債務超過になる恐れがある。それは円に対する信頼であるとか想定外の大幅なインフレであるとか日本経済を将来不安定にしかねない要因だと思 いますので、この三つの点を考えると、これをやる必要はなかったし、やってはいけなかったと思いまね。
ここは外的な要因で物価が上がらないということであれば、現状でどのような批判を受けても我慢するということしかなかったんだと思いますね。追加緩和はすべきではなかったと思いますね。
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