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2016年3月

キューバはインフラが50年前からほとんど変わっておらず、英語を話す人も非常に少ないうえ、アメリカ資本の宿泊施設の開業は2018年ごろの予定だということです。キューバは長期的な投資テーマととらえたほうがよさそうです

2016年3月31日(木)Newsモーニングサテライト
 
三井住友アセットマネジメントNY 三浦仁孝さん
 
慎重な利上げペースを改めて強調したFRBのイエレン議長の講演内容を受けて一部の証券会社は利上げ見通しを年内2回から1回に変更するなど影響は絶大でした。また、ドル高の悪影響への言及により新興国通貨が買われ、ドルが売られる展開も強く見られ、マーケット全体のリスク許容度が一気に上がったと感じます。
来月中旬から始まる金融機関の決算にはやや不安を感じています。原油安の影響でエネルギー企業向けの融資に関連した引当金が一段と必要となる可能性があります。また、年初からの市場の混乱で市場部門や投資銀行部門の収益にもあまり期待はできません。そうなると現在の楽観的なマーケットに水を差す可能性があると考えています。
 
クルーズ大手のカーニバルが今日、決算を発表し、調整後の1株利益は前年比およそ2倍となりました。さらに今年の予約件数も好調で、通期の利益見通しを上方修正しました。実はこのカーニバルは先週、5月就航予定のアメリカとキューバを結ぶクルーズラインの運航権を獲得しています。
決算の中でカーニバルの経営陣は5月以降も就航ラインが増える予定だと積極的なコメントをしていました。ただ、アナリストから客数の拡大のスピード感を質問された際の答えはややあいまいでした。
短期的には過度な期待は禁物かもしれません。先日、メキシコで空港関係者に話を聞いたところ、キューバの台頭で競争環境が大きく変わることは2年ぐらいはなく、当面はほかのカリブのリゾート地の魅力が高い状況が続くとみていました。キューバはインフラが50年前からほとんど変わっておらず、英語を話す人も非常に少ないうえ、アメリカ資本の宿泊施設の開業は2018年ごろの予定だということです。キューバは長期的な投資テーマととらえたほうがよさそうです。

次期大統領として有力視されているヒラリークリントン氏も老朽化したインフラへの投資拡大の必要性を主張しているということもあり、株式市場のテーマとして今後も関心を集めそうです

2016年3月30日(水)Newsモーニングサテライト
 
岡三証券NY 坂下尚人さん
 
主要20都市の住宅価格指数は2007年以来の高水準となっています。住宅市場が強い中での在庫不足が引き続き住宅価格の押し上げ要因となっているようです。地域別では西部の伸びが目立っていて、サンフランシスコやシアトルの住宅価格指数は前回ピークの水準を上回っています。
労働市場が改善し、ローン金利も年初から低下するなど環境は良好とみられます。今日、決算を発表した住宅建設大手レナーの決算を見ても、今後の販売につながる受注件数件数の増加基調が続いています。これから春の販売シーズンを迎え、さらなる回復が期待できそうです。
 
先行き見通しも明るくなっています。アメリカ建設市場の先行指標と位置付けられる建設指数は去年後半の落ち込みから持ち直しの動きとなっています。実はこの建設指数、現在の内訳を見ると一般の住宅が4割ほどの一方で、大規模ビルなどが6割程度となっています。最近では国内景気の回復期待を背景にホテルやオフィスビルなどの大規模な案件の建設も増えていて、指数を押し上げているようです。
建設用のセメントやコンクリートなどを手掛けているバルカンマテリアルズやマーティンマリエッタマテリアルズなど建材関連メーカーが注目を集め、株価は年初来で全体の相場を上回る動きとなっています。
政策への期待なども株価を後押ししそうです。去年12月には幹線道路や橋の修理、拡張などを盛り込んだ35兆円規模の5か年インフラ法案が成立しました。また、次期大統領として有力視されているヒラリークリントン氏も老朽化したインフラへの投資拡大の必要性を主張しているということもあり、株式市場のテーマとして今後も関心を集めそうです。

退職後の生活への不安は日本も同じことで長期的な資産計画がこれまで以上に重要になっています

2016年3月29日(火)Newsモーニングサテライト
 
大和証券CMアメリカ シュナイダー恵子さん
 
緩やかながらも底堅い、ただ、4月利上げには強さに欠けるという印象です。個人消費支出は1月分が大幅に下方修正され、3カ月連続で0.1%の伸びとなりました。ただ、ガソリンなどのエネルギーの価格下落を考慮すれば、堅実なペースです。財の消費は弱いものの、旅行などサービス消費が景気を支えています。
前回の雇用統計で賃金が伸び悩んだことで慎重な予想でしたが、家賃収入などが寄与しました。支出より所得が伸びた結果、貯蓄率は1年ぶりの高水準です。消費者心理が好調な割に財布のひもは緩んでいないようです。年初からの株安が不安要因でもあり、春以降の回復に注目しています。
 
たとえば、アメリカには日本の春の風物詩、入社式がありません。採用は必要に応じて随時行われるためです。逆に定年制度もありません。定年がないのは年齢による差別という考え方からだと思います。
ギャラップ社によるアンケート調査では直近で62歳です。退職年齢はかなりのペースで上がっています。次に何歳まで働きたいかという質問の答えは66歳です。この退職の先延ばし傾向が大卒者の就職難の要因ともなっています。
62歳というのは年金の受給開始年齢です。この調査が始まった1991年の退職年齢は57歳でした。90年代といえば、クリントン大統領の下、アメリカが高成長を遂げ、企業年金も手厚かった時代です。今は世界的な低成長、低金利で年金だけでは十分といえません。退職後の生活への不安は日本も同じことで長期的な資産計画がこれまで以上に重要になっています。

財務体質が健全な企業に関しては決算発表後に高水準の自社株買いの再開が可能だと思うので、逆に相場がもたついている場面はそういった銘柄の押し目買いのチャンスだと考えています

2016年3月25日(金)Newsモーニングサテライト
 
岡三証券NY 坂下尚人さん
 
2月の結果は市場予想を何とか上回ったんですけれども、前月比でマイナス、そして1月分も下方修正されています。さらにGDPの計算に用いられるコア資本財出荷も市場予想を下回るマイナス1.1%、1月分もマイナス1.3%に下方修正されて、1-3月期のGDPの押し下げ要因となりそうです。
企業の設備投資に関しても残念な結果となっています。設備投資の先行指標とされるコア資本財受注はここ4か月間で3度目のマイナスとなっています。昨年後半はやや持ち直す場面もあったのですが、12月に原油価格が再び底割れして以降は低調な推移となっています。実は足元の原油価格が上昇していることもあり、翌月以降、回復してくるかどうか注目しています。
 
3月も終わりに近づいて1-3月期の決算発表が視野に入ってくる中、ブラックアウトという自社株買いを手控える期間に入ることがその要因です。足元で自社株買いは大きな買いの主体になっていて、今週発表されたS&P500企業の2015年第4四半期の自社株買いは引き続き高水準で、2016年第1四半期もさらなる拡大が予想されています。
通常、決算発表前の5週間ほど前から企業は自社株買いを手控える傾向にあります。一方で、企業の決算発表のピークは4月第3週目から4週目にかけてと予想されていて、これを考慮するとまさに今週から自社株買いのブラックアウト期間に入ったといえそうです。
世界経済の鈍化懸念などがきちんと解消されとらず、4月利上げの思惑も浮上する中、自社株買いの中断は弱気材料だと思います。ただ、財務体質が健全な企業に関しては決算発表後に高水準の自社株買いの再開が可能だと思うので、逆に相場がもたついている場面はそういった銘柄の押し目買いのチャンスだと考えています。

外部環境の逆風が弱まることは業績には間違いなく追い風で、今後の相場の下支えになると考えます

2016年3月24日(木)Newsモーニングサテライト
 
日本生命NY 加藤裕之さん
 
2月は年率換算で51万2000戸と昨年の平均50万3000戸を若干上回るペースでの販売となりました。また、住宅在庫月数も5.6カ月と需給がタイト化して価格上昇を引き起こすレベルといわれる5カ月を上回っている状態で、販売価格の中央値はおよそ30万1000ドルとほぼ昨年平均の水準を維持しています。
住宅購入のすそ野の広がりに注目したいと考えています。実はここ数年、30万ドル以下の中低価格帯物件の販売全体に占める割合が減ってきています。これは親と同居する若年層の増加や実質賃金の伸び悩み、学生ローン負担の増加などが背景にあると考えられます。しかし、今年に入ってこの割合が下げ止まってきました。低金利の継続や実質賃金の上昇などがこのトレンドを後押しできるのか気になるところです。
 
主要国の金融政策を決める会合も終わり、景気指標も落ち着き、株価も年初以来高値を回復する中で、今後はマクロよりミクロということでやはりアメリカの企業業績がポイントになると考えます。昨年来、原油安とドル高の二つが業績の足を引っ張ってきましたが、実はその悪影響が足元の1-3月期からようやく弱まってきそうです。
まず原油価格ですが、今の四半期の比較対象となる昨年1-3月期の原油価格の平均は約49ドルであり、その前やさらに前の四半期よりも大幅に低下した水準です。それでもまだ足元の水準は前年比でマイナスですが、マイナスの幅は確実に縮小しています。さらに年初のように底が見えない状況からは徐々に脱していると考えられ、企業側も先行きの見通しを立てやすくなりつつあると考えます。
為替も貿易規模などを考慮して算出されるドル指数を見ると、昨年1-3月期の平均は約95.1ポイントとその前やさらに前の四半期より大きくドル高に振れたレベルであり、こちらもギャップが小さくなることでドル高の悪影響が徐々に弱まってくると考えます。このように、外部環境の逆風が弱まることは業績には間違いなく追い風で、今後の相場の下支えになると考えます。

アマゾンのこれらのロビー活動が成功すれば、さらに市場シェアを伸ばし、既存の小売店の閉店がさらに増加することも予想されます

2016年3月23日(水)Newsモーニングサテライト
 
米国みずほ証券 中川義裕さん
 
ヨーロッパの株価の動きは冴えませんでしたが、影響は限定的だったようです。ドイツで発表された3月のIfo企業景況感指数が106.7ポイントと4カ月ぶりの上昇。また、ZEW景気期待指数も前月から上昇し、株価の下支えとなりました。
いくつかの問題に影響を与えそうです。ヨーロッパで国境をまたいで人とモノの行き来を可能にしているシェンゲン協定というルールがありますが、今回のようなテロをきっかけに廃止、縮小の議論が起これば、18兆ドル以上の規模を持つEU経済にとってはマイナスです。また、イギリスのEU脱退議論にも油を注ぎそうです。ZEW景気期待指数はここ2年で見ると、低い水準にあり、今回のテロの影響を考慮すると景況感の本格的な回復にはしばらく時間がかかりそうです。
 
今年に入ってからウォルマートをはじめ小売りチェーンで不採算店舗の閉店が相次いでいます。ある調査によると、今年1-2月は前年同期と比べて33%増加しています。2015年の同じ時期が29%増、2014年が6%増であったことを考慮すると、閉店ペースが加速しています。
最大の要因はインターネット小売りの台頭です。実際、小売りに占めるネット販売の割合は7.5%と堅調にシェアを伸ばしています。さらにネット販売最大手のアマゾンドットコムがこの動きに拍車をかける可能性があります。
アマゾンはさらなる販売拡大を狙い最近、ロビー活動を拡大させています。具体的には昨年は前年と比べておよそ2倍となる940万ドル、およそ10億円をかけ、スタッフも2倍の60名以上に拡大するなどして、ドローンの商業利用の拡大や道路や橋の改修、提携先である米郵政公社の存続などを議員に訴えています。アマゾンのこれらのロビー活動が成功すれば、さらに市場シェアを伸ばし、既存の小売店の閉店がさらに増加することも予想されます。

これらの調査やヴァリアントのデフォルトの行方等、しばらく医薬品セクターには不透明要素が付きまといそうです

2016年3月22日(火)Newsモーニングサテライト
 
マンハッタン・グローバルフィナンシャル 森崇さん
 
チャートを見てみると、200日移動平均線と上値抵抗線が一致する111ドルあたりを上抜けば、さらなる上昇が期待できそうです。そのきっかけの一つが4月25日に予定されている決算です。モルガンスタンレーは在庫調整は終了し、1-3月期のアイフォン販売も独自の調査で5000万台半ばになりそうなことから目標株価を135ドルと強気の見方を維持しています。
今年の秋にはアイフォン7の発売が予定されています。新型アイフォンでは通信速度やアンテナ性能が向上するほか、ステレオスピーカーが採用されるとの見方もあります。スピーカーは充電の差込口の両脇につけられているとの観測がありますが、場所が近すぎてあまりステレオ感が得られないので、デザインも含めていったいどのような工夫がされるのか楽しみなところです。
 
医薬品株の下落基調が続いています。医薬品株のETF、上場投資信託とS&P500指数を1年前を起点として、それぞれの上昇率の推移を見ると、医薬品株はS&P500指数を大きく下回るパフォーマンスとなっています。
カナダの製薬会社、ヴァリアントファーマシューティカルズインターナショナルの売り上げ水増しや不正な薬価の引き上げ疑惑等が発端です。その後、ヴァリアント化が急落し、セクター全体に影響しています。ヴァリアントは4月29日までにアメリカの証券取引委員会に対し、会計監査後の年次報告書の提出を求められていて、もし提出できなければ、デフォルト、債務不履行に陥る可能性があります。
特に大幅な薬価引き上げはアメリカ議会の複数の委員会の調査対象となっていて、民主党の下院議員は薬価設定を調査する組織を設立しました。ヒラリークリントン氏やドナルドトランプ氏など大統領候補からも批判が出ています。これらの調査やヴァリアントのデフォルトの行方等、しばらく医薬品セクターには不透明要素が付きまといそうです。

コンステレーションブランズはさらなる販売拡大に向け、アメリカではじめてスペイン語のテレビCMの放映を計画しているとし、ヒスパニック市場の攻略のヒントとして他の業界からも注目されそうです

2016年3月18日(金)Newsモーニングサテライト
 
東海東京証券アメリカ 笠原善彦さん
 
アメリカの労働省が発表したJOLTS、雇用動向調査によると、1月の求人数は554万人で市場予想の550万人を上回りました。引き続き高水準の求人数を維持しており、堅調な景気回復を印象付けました。この指標はイエレン議長が利上げを判断する際に重視する指標の一つです。
この指標は単独で見るよりも同時に発表される採用件数とのバランスを合わせている必要があります。1月の採用件数は502万9000人となり、足元では求人件数が採用件数を上回る傾向がさらに強まりました。一部企業では希望する人材の採用ができていない現状が発生していると想定され、今後、賃金への上昇圧力が強まって、物価への影響も注目されます。
 
現在のアメリカ大統領選の候補者指名獲得レースもこれが当てはまり、とりわけ中南米出身のヒスパニック系を取り込むことが重要です。なぜなら、2014年時点での国勢調査ではアメリカ国民の6人の一人がヒスパニック系で、そううち65%がメキシコ人という現状があるからです。2060年にはおよそ3.5人に一人がヒスパニック系になると予測されています。
特にビール業界ではメキシカンビールの動きが鮮明です。代表的なコロナエキストラとモデロエスペシアルは他のブランドが数量を落とす中で、販売を伸ばしています。これらのブランドの販売権を持つアルコール飲料大手のコンステレーションブランズは権利を獲得した2013年には大きく売り上げを伸ばし、足元の業績も好調です。
アメリカではベビーブーマー世代、ミレニアル世代と並びヒスパニック層が3大消費市場といわれています。コンステレーションブランズはさらなる販売拡大に向け、アメリカではじめてスペイン語のテレビCMの放映を計画しているとし、ヒスパニック市場の攻略のヒントとして他の業界からも注目されそうです。

アメリカでは四半期ごとの配当がほとんどで、四半期が終わった後にその業績に基づくという実績配当の形です。結果的に配当狙いの買いが継続的して相場を支えることが期待できるといえそうです

2016年3月17日(木)Newsモーニングサテライト
 
大和証券CMアメリカ 森本裕貴さん
 
今回の最大の注目点は今年末の金利の中央値がどこまで切り下がるかで、昨年12月時点の1.375%から今回0.875%まで切り下がりました。年内4回の利上げ予想が2回になったことになります。前回の利上げからまだ3カ月しか経過していないことを考えると、これは正直に言ってサプライズでした。発表直後に長期金利が急低下したことがそれを物語っています。
声明文からは世界経済と金融市場の混乱によるアメリカ経済への影響を懸念しているようです。今年と来年のGDP中央値を引き下げたこともその影響だと考えられます。一方で、アメリカ経済はここ数カ月において、逆風下にもかかわらず、緩やかに拡大しているという文言も含んでおり、弱気に傾きすぎないようにバランスを取っています。
非常にバランスの取れた内容でした。FOMCの金利予想は行動を約束するものではないと、4月の会合も予断を持たずに行うなど政策の選択肢を狭めないように工夫しているという印象です。世界経済や原油価格についての質問も無難にこなし、市場に安心感を与えました。FOMCを通過したことで、株式等リスク資産への資金流入がさらに活発化しそうです。
 
増配を続ける株に注目が集まっています。S&P500構成企業のうち、25年以上連続で増配を行っている企業50社で構成されるS&P500配当貴族指数という指数があり、先週末、史上最高値を更新しました。コカ・コーラ、マクドナルドなどダウ構成銘柄もいくつか含まれていますが、昨年末からの上昇率は4%近く、S&P500のマイナス1%に比べ差は明らかです。
これまでは高利回りで投資家を引き付けていたハイイールド債やMLPというエネルギー資源関連資産への投資によって配当を受け取る投資商品などが原油等の商品市場の混乱から敬遠され、相対的に高配当株の安定性が目立ったのかもしれません。
日本とアメリカでは配当のシステムが違うため、その影響は限定的だと思います。日本では中間と期末の年2回の配当が一般的で、しかも足元の半期の業績予想に応じてという予想配当の形を取ります。そのため、3月と9月末に配当狙いの買いが集中します。しかし、アメリカでは四半期ごとの配当がほとんどで、四半期が終わった後にその業績に基づくという実績配当の形です。結果的に配当狙いの買いが継続的して相場を支えることが期待できるといえそうです。

デパートなどがネット通販との競争激化で店舗削減を強いられている一方で、若者の世代からの支持もあるディスカウント店などは出店を拡大していくというような計画を示しているので、今後も投資家から注目されそうです

2016年3月16日(水)Newsモーニングサテライト
 
岡三証券NY 坂下尚人さん
 
1月分も大幅に下方修正されていて、今年に入ってからの金融市場の混乱が影響した可能性もありそうです。ただ、労働市場の改善が続き、消費者信頼感指数も依然として高水準で、また、株価も落ち着きを取り戻しつつあるという状況ですので、今後も消費の拡大が続くだろうという見方が根強いと思います。
今回の内訳を見ると、新規受注が10カ月ぶりにプラスに転じています。製造業には依然停滞感がありますが、最悪期を脱出しつつあるということを示す指標も増えています。在庫調整圧力が幾分和らいできているとみられる中で、これまで悪材料となってきたドル高、原油安などの一服の動きが続けば、製造業の持ち直しのサポートとなってきそうです。
 
ディスカウント店とか1ドルショップなどには追い風が吹いていて、株価も上場来高値近辺で非常に強い動きとなっています。消費者の節約志向が依然として根強く、デパートなどよりも今後の労働市場の改善や原油安の追い風を受けやすいととらえられているようです。
現状、雇用者数の増加はヘルスケア、小売り、レジャー、娯楽などで、相対的に賃金水準が低い業種で見られています。さらに、こういった業種は過去と比較しても求人率が高水準で推移していますので、この先も中低所得者層の雇用の増加が予想されます。
取扱商品が10ドルから15ドル程度のディスカウント店が中低所得者層の需要増加の受け皿となってきそうです。デパートなどがネット通販との競争激化で店舗削減を強いられている一方で、若者の世代からの支持もあるディスカウント店などは出店を拡大していくというような計画を示しているので、今後も投資家から注目されそうです。

じくじく効いてきて、壮大なスケールでデメリットを上回るメリットとなっていくはずですので、これは時間差を置いてメリットが大きく上回っていくと思います

2016年3月15日(火)Newsモーニングサテライト
 
ホリコ・キャピタルマネジマント 堀古英司さん
 
ミニスーパーチューズデーでフロリダなど注目の州で予備選が行われます。選挙というのは一般に株式相場にとって不透明要因なんですけれども、意外に思われるかもしれませんが、結果はもちろん大事なんですけれども、それよりも何よりもそういう不透明要因という選挙が終わってしまうことが非常に大事ということが歴史の示すところです。実際、3月1日にスーパーチューズデーも結果を待たずに株式相場は大きく上昇しましたけれども、これが一つの例だと思います。
2期続いた大統領の後、株式相場は比較的大きな調整が起こっていますが、これはわかりやすくて選挙という不透明要因が2期、比較的政治的に安定していた後に起こることで、今回もオバマ大統領が2期続いたのでそういう調整が年初からあったのかもしれません。ただ、こういう時こそ不透明要因という選挙が近づくにつれて、一つ一つ、明日のミニスーパーチューズデーもそうかと思いますけれども、払拭されていきますので、株価にはサポート材料になると思います。
 
最近、純相関の関係が続いていますけれども、純相関が始まったのは2015年の初めからで、原油価格が50ドル近辺に行ってからなんですよね。その前はほとんど相関関係はありません。
第一に市場の原理として大きな市場が小さな市場に振り回されるということは本来ないはずなんですよね。もしそれが可能ならば、大きな市場、株式で空売りをしておいて、原油相場をつぶして、大きな相場のほうで買い戻して利益を得るということがいつまでもできてしまうわけですから、これは市場原理としてまずおかしいということが言えます。第二に歴史的に経済と原油価格の相場は、原油価格が高騰した後にGDPがマイナス成長になっています。ですので、今は経済にとってはいい状況ということが言えます。
これは時間差の問題だと思うんですよね。やはり原油価格が下落すると、資本の価値はやはり下落します。これは資本というのは石油開発プロジェクトの価値であったり、銀行がエネルギー会社に貸し出ししていて、その担保が減るとか、そういう資本の低下によるものだと思うので、これは瞬時に出てくるということで、株価も影響を受けざるを得ないですけれども、一方で、メリットのほうですよね、メリットというのは瞬時に出てこなくて、時間をかなりおいて出てくる性質のものです。メリットが一番出てくるのはアメリカの個人であり、消費者であるわけですけれども、じくじく効いてきて、壮大なスケールでデメリットを上回るメリットとなっていくはずですので、これは時間差を置いてメリットが大きく上回っていくと思います。

共和党の大統領候補からはオバマケアや環境関連の規制緩和を求める声が多く、大統領選の争点になりそうです

2016年3月11日(金)Newsモーニングサテライト
 
米国みずほ証券 中川義裕さん
 
今後はユーロ圏などから流出する資金がさらに増えてくると考えています。マイナス金利導入や拡大で日本やユーロ圏では短期と中期の国債利回りはすでにマイナスとなっています。今や金利がまともに機能している先進国は限られていて、市場規模や利回りの水準などを考えると、流出した資金の受け皿はアメリカとなりそうです。
そこで注目すべきはアメリカの30年債利回りとS&P500の配当利回りがほぼ変わらない水準にあるということです。為替ヘッジなどのコストを考慮する必要はあるものの、生命保険や年金など長期の運用資金がポートフォリオの利回りを維持するために株式などのウェイトを高めることも考えられ、株価の下支えも期待されます。
 
アメリカの公認会計士協会は今月初め、企業幹部540名を対象とした経済見通しの第一四半期の調査結果を発表しましたが、その中に組織が直面する課題に対する回答があります。1位は国内経済ですが、実は去年から上位に入っていたのは規制対応で、今回も2位にランクインしています。ちなみに回答者の6割が財務責任者以上の役職です。
中小企業の景況感などを調査するNFIB、全米自営業者連盟によると、主に環境と労働関連の規制の影響が多いようです。NFIBによると、毎日約10の新規制が導入されていて、中小企業にはモニタリングして対応する余力がないとして、NFIBは様々な面で規制緩和を求めています。
オバマ政権による残業代の対象者の拡大やオバマケアの対応も多くの中小企業にとって相当な負担になっているようです。共和党の大統領候補からはオバマケアや環境関連の規制緩和を求める声が多く、大統領選の争点になりそうです。

足元の二つのデータを見ると低下傾向ではあるものの、リセッションを示す水準ではなく、こういったデータの変動もチェックしていく必要があるというふうに感じています

2016年3月10日(木)Newsモーニングサテライト
 
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル 三浦洋平さん
 
あまりよくなかったと解釈しています。在庫は前月比でプラス0.3%と予想以上、売り上げのほうはマイナス1.3%と予想以下となりました。実はこの二つのデータは独立して見るよりも合わせて考察する必要がある点に注意が必要です。
つまり売り上げと在庫の伸びのペースを比較して考える必要があります。売り上げが鈍化する中で在庫が上昇するということは不良在庫、つまり企業の利益率の圧迫を招くことになります。つまり注目すべきは在庫を売り上げで割った在庫売上倍率のほうです。この指標は在庫が多いほど高くなり、足元は依然高水準で、在庫が過剰気味になっていることには引き続き注意が必要です。
 
先月もこのコーナーでお伝えした鉄道輸送のデータからは幾分改善がみられています。1月は貨物輸送量が前月比で17%近く下落したのに対し、2月は10%の低下でとどまっています。しかし、年初来ではまだマイナス14%で、前年に比べて弱さは続いています。
自動車輸送が特に急増しています。1月の4%増に対して、2月は19%増となりました。アメリカで販売されている自動車の7割が鉄道で輸送されているといわれ、自動車販売の堅調さを示唆しているとも考えられます。
月次レポートではアメリカがリセッションを回避できるかどうかという議論するデータも掲載されています。新規受注や新規失業保険申請者数、S&P500指数の動き等10のデータを指数化した先行指標や10年債利回りから3カ月物の利回りを差し引いた長短金利差などが該当します。これらは景気が悪化する直前に大きく変動し、金利差についてはマイナス圏に転じる傾向があります。足元の二つのデータを見ると低下傾向ではあるものの、リセッションを示す水準ではなく、こういったデータの変動もチェックしていく必要があるというふうに感じています。

今後のさらなる商品市場のリバウンドに期待している投資家は多く、このトレンドがより鮮明になれば、株価の良いサポート要因になると考えています

2016年3月9日(水)Newsモーニングサテライト
 
米国みずほ証券 兼松渉さん
 
今日、新たなボラティリティ指数のスパイクスが発表されました。ボラティリティ指数は相場の振れ幅の大きさや市場の不安心理の高まりを示すものですが、この新しい指数はこれまで市場が荒れた時に注目されていたVIX指数のライバルになるといわれています。
ともにオプション取引の値動きを点に算出される点は同じなのですが、VIXが場立ちで取引されている指数で算出されるのに対し、スパイクスは電子的に取引されている指数を使っています。実際、株価の振れ幅が大きくなると、一般的に売買高も増えますが、従来のVIXでは手作業が入るため算出が間に合わないという現象が生じます。昨年には算出におよそ30分の遅れが生じたこともありました。一方、スパイクスは確実かつ迅速にデータを取り込むことが可能で、相場の環境をより正確に把握することができるといわれています。
 
年初から急落の原因の一つでもある中国経済の減速に対する懸念が和らいでいることも背景にあります。これまで中国の景気減速懸念を理由に原油をはじめその他の商品価格が大きく下落していましたが、過去数日は鉄鉱石価格の上昇がやや目立っています。中でも7日は中国の青島荷揚げの鉄鉱石の価格が先週末に比べ19%アップし、去年6月以来の高値を付けました。
中国の国会に当たる全人代で示された5か年計画の内容が市場予想以上に前向きだったことが好感され、買い戻しが入りました。また、中国政府が追加の金融緩和を実施し、鉄鋼需要を喚起するとの期待感や過剰生産能力を抱える鉄鋼セクターの合理化に向けて積極的に取り組んでいくことも価格を押し上げています。
世界的な物流の動きを反映するバルチック海運指数は落ち着きを取り戻しているほか、総合的な商品価格の動向を示すCRB指数も上昇基調に転じています。今後のさらなる商品市場のリバウンドに期待している投資家は多く、このトレンドがより鮮明になれば、株価の良いサポート要因になると考えています。

エクソンは先週の投資家説明会で最近の増資トレンドに懸念を示し、買収に消極的な姿勢を示しました。業界再編は原油価格を上昇させるきっかけにもなるため、その期待が遠のいた印象です

2016年3月8日(火)Newsモーニングサテライト
 
三井住友アセットマネジメントNY 曽根良太さん
 
WTI原油価格はきれいなダブルボトムを形成しています。S&P500指数も連動し、WTIの落ち着きが株式市場のリスク許容度を押し上げている印象です。ここ最近の原油価格の上昇は増産凍結の議論が進んだためで、さらに先週、3月20日からロシアで増産凍結に関する協議が再開されるとの報道が出て、さらなる原油価格上昇の期待が高まっています。
ただ、一段の価格上昇には増産凍結ではなく、世界的に在庫が過去最高水準のため、やはり減産が必要です。今回、増産締結の合意に至ったとしても、市場の期待はかなり高まってきているため、最低でも6月のOPEC総会での減産が合意できるような地ならしが印象付けられないと、失望売りを誘うことになると思います。
 
石油最大手のエクソンモービルも最高格付けであるトリプルAから初めて格下げされる懸念が高まっています。特にS&Pは先月、格下げを示唆するネガティブウォッチへと見通しを引き下げていました。エクソンは原油価格が10ドル台で低迷していた80年代後半やリーマンショック後の急落局面でも格下げされず、もし今回格下げされれば、石油業界の地位低下の象徴になるかもしれません。
資金繰りの努力をしています。ここ数週間、大手など大幅減配や大規模な売却計画の発表のほか、経営に不透明感が募り社債発行が厳しい中でも大規模な増資を発表しています。通常、増資は多くても発行済み株式数の10%程度ですが、マラソンオイルという会社が20%の大幅増資を発表しています。
今回の大規模な増資は生き残り策としての意味合いが強く、業界再編を妨げる可能性があります。実際エクソンは先週の投資家説明会で最近の増資トレンドに懸念を示し、買収に消極的な姿勢を示しました。業界再編は原油価格を上昇させるきっかけにもなるため、その期待が遠のいた印象です。

百貨店のメーシーズは保有資産がかなり大きいということで着目されていて、これに投資するファンドもありますけれども、こういう銘柄は年初から上昇しています

2016年3月4日(金)Newsモーニングサテライト
 
ホリコ・キャピタルマネジマント 堀古英司さん
 
今日発表されたISM非製造業景況指数は予想を上回りました。先日発表された製造業のほうも持ち直しの兆しがみられますので、年初から一部言われてきたリセッションの可能性というのは非現実的だと思います。この先製造業の見通しを見るうえで重要な材料はドル高の一服だと思うんですけれども、この1年半、ドルは対主要通貨で25%近く上昇してきて、足元では一服してきています。25%も上がられると、製造業が去年打撃を受けたのは当然だったと思うんですね。
去年は利上げがいつかというのが大きなテーマだったので、期待がドルを押し上げやすかったんですけれども、今年はもう逆の展開になってきていて、期待がしぼむ展開と。ですから今年はドル高が一服する可能性が高くて、こうなれば、ドル高が止まるだけで製造業にとってはかなり追い風になってくると思います。
 
去年12月末時点で特徴的だったのは、まずひとつ、エネルギー関連銘柄を拾う動きが目立ってきていました。大手のヘッジファンドがパイプラインの運営会社とか石油会社とかを幅広く新規に購入する動きが目立っています。原油価格の底入れが近いか、またエネルギー関連はすでに割安になっているという見方だと思います。
最近、通信業界の再編を先取りする動きに着目する投資が目立っていたんですけれども、たとえば、携帯電話会社のTモバイルは買収の標的とされていたので、先回りして買うようなヘッジファンドの動きがあったんですけれども、当局が再編に積極的ではなくて、なかなか進まないということで見切りをつけるファンドが目立っていました。
大手の機関投資家とかヘッジファンドなどは多くが保有資産に対して、または利益に対して株価が割安というところに着目した中長期の投資をするところが多いんですよね。そういう点では今回の下落局面は追加投資のいいチャンスになったのではないかと思います。たとえば、百貨店のメーシーズは保有資産がかなり大きいということで着目されていて、これに投資するファンドもありますけれども、こういう銘柄は年初から上昇しています。

家電メーカーをはじめマイクロソフトやアマゾンといったインターネット企業にも蓄積してきた人工知能やデータ分析を生かすなどソフト面で新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があると思います

2016年3月3日(木)Newsモーニングサテライト
 
マキシム・グループ 久野誠太郎さん
 
ADP雇用報告では民間部門の雇用は2月も勢いを失っていないことが確認され、アメリカ経済の成長基盤がしっかりしていることを示したと言えます。中小企業から大企業まで幅広く拡大し、特に海外経済の影響を受けやすい大企業での雇用が7万6000人増と1月の4万4000人増から上向いたことでリセッション懸念は杞憂であると言えそうです。
暖冬の影響で住宅建設などが順調に進み、建設業の雇用が増加傾向を継続しており、これは住宅市場の支援材料です。このように雇用市場の堅調さが続いていることは個人消費にも好影響で、さらに企業が採用を継続していることは景気の先行きに悲観的ではないといえるとも思います。
 
実は先月、FCC連邦通信委員会はケーブルテレビのセットトップボックス市場の自由化を推進するルール作成を提案することを可決しました。今後は業界などからの意見を集めて最終ルール案が年内にも作成されることになります。
FCCのウィラー委員長はWifiなどのように機器を標準化することで消費者に選択肢を与えるべきであるとしています。現状では99%の消費者がケーブル会社からレンタルする選択肢しかなく、年間に平均231ドル、約2万6000円の費用が掛かっています。テレビやパソコンの価格は下落しているにもかかわらず、ケーブルボックスの価格は上昇を続け、消費者の負担となっています。
このルールが導入されると、アップルのアップルTVやグーグルのクロームキャスト、ゲーム機など独自の機器を経由して既存の有料テレビを見られるようになります。家電メーカーをはじめマイクロソフトやアマゾンといったインターネット企業にも蓄積してきた人工知能やデータ分析を生かすなどソフト面で新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があると思います。

これらのイベントがサポート材料となることでアップルの株価を押し上げ、相場全体に好影響が及ぶとのシナリオを期待しています

2016年3月2日(水)Newsモーニングサテライト
 
大和証券CMアメリカ 森本裕貴さん
 
過去のデータを参照し、市場にはポジティブに働きそうだという見方が多いようです。1990年以降で大統領選挙は6回ありましたが、スーパーチューズデー当日とその1週間後のS&P500の終値を比較すると5回が上昇していました。さらに1996年や2012年のように下落トレンドから一転して上昇するといったケースもあります。選挙戦の本命が絞られ、不透明感が晴れたことが好感されたようです。
各候補者のこれまでの発言等も今回は影響してきそうです。共和党ではトランプ氏が圧勝するようなら市場に混乱を与える可能性が高くなりそうです。一方で、トランプ氏と争うクルーズ氏が全米で2番目に代議員が多いテキサス州、さらにアーカンソー州でトランプ氏に大差をつけて制するようなら逆に市場にはポジティブでしょう。民主党ではクリントン氏が圧勝を収めれば市場にはポジティブだと考えています。
 
やはりアップルの株価の動きだと考えています。アップルは指数全体への影響が大きいものの先月までの動きは冴えませんでした。ダウが年初来安値を記録した2月11日から昨日までの上昇率は3.4%で構成銘柄30銘柄の中で下から6番目です。アップルが本格的な反発局面に入れるかどうかが相場全体が上値が試せるかどうかのカギを握っていると思います。
まずは3月21日に予定されている新製品の発表イベントです。4インチモニターの小型アイフォンやアイパッドプロの新型モデルが発表されるとうわさされています。過去を振り返ると、イベントの1カ月程度前から株価が上昇するケースが多く確認でき、今回も同じパターンが期待されます。
アップルには4月の決算発表というもう一つのイベントがあります。アップルは過去3年連続で4月の決算発表時に自社株買いの増額や増配を発表しています。先週末にクックCEOが株主総会で増配の意向を示したほか、大型の社債発行をすでに行っている流れからも今回も株主還元の拡充を発表する可能性は高いと思います。これらのイベントがサポート材料となることでアップルの株価を押し上げ、相場全体に好影響が及ぶとのシナリオを期待しています。

今回の決算の場合、S&P500全体の株価収益率は調整後で見た場合は17倍ですが、調整前で見た場合は22倍で割高と指摘される可能性に注意が必要です

2016年3月1日(火)Newsモーニングサテライト
 
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル 三浦洋平さん
 
まず、明日のISM製造業景気指数に注目です。直近、ドル高の一服により製造業の活動は幾分改善したといわれていて、先週の耐久財受注もいい内容でした。ただ、今日のダラス地区やシカゴ地区の数字も芳しくなく、さらなる確認が必要で、そういう意味で最も重要な指標になります。
ISM非製造業景気指数にも注目したいと考えています。先週発表されたサービス業PMIは市場予想を大きく下回り、政府閉鎖が生じた2013年10月以来の低水準でした。アメリカのGDPの7割は消費に支えられ、サービス業の失速は消費の弱さを裏付けることにもなります。今月はFOMCもありますので、もし弱い数字が出た場合、FRBがどのような見方を示すのかも注目です。
 
いわゆる会計基準の違いによって業績の出方に乖離が生じていることが一部で指摘されています。アメリカでは米国会計基準、いわゆるGAAPとNonGAAPの二つが存在します。実はこの二つの1株利益の乖離が20%近くまで拡大し、金融危機以降の平均値の8%乖離を大きく上回っている状況です。
いわゆる調整後というフレーズを使うNonGAAPの場合は一時的や特殊な費用などを除いているケースが多いです。たとえば、石油企業が原油価格の下落で資産の減損処理をした場合や金融機関の訴訟費用などがこれに該当します。問題は企業側が一時的ととらえたものを市場も一時的ととらえるかという認識の差にあります。
実はITバブルの時期に上場企業が調整後の業績を主に開示していて、当時のSEC、つまり証券取引委員会が調整前の業績も同時に見るべきとし、調整後の業績開示を条件付きで認めてしまっています。SECの関係者も本来はGAAPを見るべきと指摘しているものの、すぐに変更できない現実もあります。各業界の慣習などもあり一概にはどちらがいいとは言い難いのですが、本来は個別企業単位で細かく見る必要があると思います。今回の決算の場合、S&P500全体の株価収益率は調整後で見た場合は17倍ですが、調整前で見た場合は22倍で割高と指摘される可能性に注意が必要です。

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