半導体指数の株価収益率は15.1倍とS&P500指数の17.5倍を下回っており、業界の成長性などを考慮すると今後も上値余地はあると考えます
2017年6月30日(金)Newsモーニングサテライト
日本生命NY 加藤裕之さん
S&P500指数は年初来で約8%上昇していますが、今後の業績拡大への期待が高い成長株は13%ほど上昇する一方で、割安株は4%ほどの上昇にとどまっています。成長株については好業績のITセクターなどが牽引する一方で、割安株についてはエネルギーセクターなどが足を引っ張っています。また、利上げペースが緩やかであることも成長株にとっては追い風となっています。
成長株の株価収益率は割安株の株価収益率と比べると、通常時は1.2倍前後ですが、足もとでは1.3倍と成長株の相対的な割高度合いが増してきています。今後は平均に回帰していく、つまり成長株の株価収益率には下押し圧力がかかってくると思われます。成長株への投資においては好業績の銘柄を見極める選球眼がより必要になってくると思います。
S&P500指数は年初来で昨年1年間に迫る上昇率になっていますが、特にITセクターが17%と業種別で一番高い上昇率を誇っています。その中で半導体関連企業も好調であり、フィラデルフィア半導体指数も年初来で15%上昇しています。
スマートフォンの高度化、クラウドサービスの進展、自動車1台当たりの半導体搭載量の増加と様々な追い風があります。また、家庭向けPCもここ数年、タブレットや大型スマートフォンの普及で出荷減少が続いてきましたが、足もとでは一巡して下げ止まってきています。このような強い需要を背景に半導体メモリーの価格は堅調に推移してきています。
実は半導体指数構成銘柄の設備投資の合計額はここ5年で毎年ほぼ売上の10%前後と過去に比べて安定してきています。これは供給キャパシティが全体としてうまくコントロールされていることを示唆していますので、過剰投資による値崩れは心配しなくてよさそうです。半導体指数の株価収益率は15.1倍とS&P500指数の17.5倍を下回っており、業界の成長性などを考慮すると今後も上値余地はあると考えます。
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