減税などの政策期待は低下してしまっていますが、9月以降、協議が本格化するにつれ、市場も政策効果を織り込んでいくものとみています
2017年7月14日(金)Newsモーニングサテライト
米国みずほ証券 堀内隆文さん
大手行はすでにトレーディング収益の減少に言及しており、市場は4-6月期の実績に慎重な見方で、ポジティブな材料には株価上昇で反応しやすいとみています。例えば、大手行はストレステストを経て、大規模な市場予想を上回る自社株買いを発表済みです。計算上、利益想定が変わらなければ、1株利益の上昇要因となるため、見通しについては上方修正が考えられます。
依然として株価には上昇余地があるとみています。FRBの公表資料を基に試算してみると、大手6行の今後2年間の株主還元額は1800億ドル程度になるとみられ、これは大手6行の時価総額の15%程度に相当します。この約3分の2が自社株買いに向かうとみています。中でも増額幅が大きくなりそうな商業銀行は決算発表を経て、株価にもポジティブな動きが出てくるのではないかと注目しています。
医療保険制度改革は内容よりも法案化を優先させる姿勢が鮮明となっています。共和党は議会の夏季休会明けとなる9月以降に減税策の協議を本格化させたいために、まず、予算の大枠を決める予算作りをまとめる作業に速く移りたいようです。
上院でわずかに過半数を上回る共和党が予算の決議を行うためには民主党の協力が必要となります。また、その決議に基づいて減税法案を可決するにあたっては財政調整法の活用が不可欠です。財政調整法は審議の迅速化を促す仕組みで、上院で可決に求められる票数が60から51へ下がります。予算決議、そしてその先にある減税を実現するにはまず財政調整法の活用を含めた予算決議について民主党と妥結しなければなりません。
ジョージWブッシュ政権下、そこで実施された減税策を参考とすると、9月の減税協議が本格化すれば、来年1-3月期のどこかで法案化し、減税の適用は遡って来年1月1日になるとみています。減税などの政策期待は低下してしまっていますが、9月以降、協議が本格化するにつれ、市場も政策効果を織り込んでいくものとみています。
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