国際基準との整合性を図る必要がありますが、金融規制緩和に関する議論がついに現実的な歩みを始めたという点で大きな注目を集め、このところの金融株の上昇を手伝っていると見えます
2017年7月11日(火)Newsモーニングサテライト
野村グループ 前田秀人さん
野村グループのクオンツチームが小売業界への投資においてどのファクターが最も利益を生んでいるか計算しました。2010年以前に関してはバリエーション、つまり株価の割安、割高に注目し、割安株に投資するのが最もパフォーマンスがよくなっていました。一方、2010年以降、最も好調なファクターは従業員一人当たりの売上高に変化しています。
背景にあるのはやはりアマゾンを筆頭としたeコマースの台頭だと考えられます。株式投資において割安株への投資はよく使われる手法の一つですが、小売業界においては負け組に投資することにつながる可能性があります。従業員一人当たりの売上高などその他のファクターの注目すべきと思われます。
今回の見直し案において特に注目されているのはアメリカの大手銀行におけるレバレッジ比率規制の緩和です。レバレッジ比率規制は財務諸表内外の資産に占める資本の比率を一定水準に保つ規制ですが、今回の案は分母から米国債などを控除するというものであり、結果、レバレッジ比率が高まり、金融機関の自由度が増すことになります。実現すれば、アメリカの大手銀行にとって大きくプラスに寄与し、たとえば、JPモルガンは総資産のおよそ20%も規制対象外にできます。ただし、これは国際基準を大きく逸脱する提言であり、実現に関しては難しそうです。
これまで具体性に欠ける政策提言の多かったトランプ政権としてはこの見直し案が政権発足以来初めて具体的で地に足がついた政策と評価できるからでした。実際にボルカールールの簡素化等、これまで規制対応に追われていた金融機関にとって負担が減ると期待される内容も含まれています。
財務省による改革提言は議会審議を経ずに改革できる点にフォーカスしています。今後、国際基準との整合性を図る必要がありますが、金融規制緩和に関する議論がついに現実的な歩みを始めたという点で大きな注目を集め、このところの金融株の上昇を手伝っていると見えます。
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