ECBのテーパリング発表に向けた過度な期待感が後押ししていると考えられるため、ユーロが落ち着けば、ドル指数は底を打つとみられます
2017年8月24日(木)Newsモーニングサテライト
SMBC日興セキュリティーズアメリカ 尾坂将司さん
昨日はビッグ6と呼ばれるトランプ政権の中核メンバーが減税に向けた財源確保の方法について大枠で合意したと報じられています。また、議会共和党が何によって減税分を賄うかなどの財源の説明なしで4500億ドルの追加減税を認める手法を検討しているとの報道もあり、ブレイディ下院歳入委員長もこの案に前向きであることが明らかになっています。
まだ、これでも課題は多そうです。財源確保案の中には州税、地方税の控除廃止が含まれていますが、ニューヨークやカリフォルニアなど税率の高い州では控除によるメリットが大きいだけに反発が起きると考えられます。法人税率についてはトランプ大統領が目標としている15%はおろか、20%以下の水準も難しいとみられています。また、追加減税を認める手法についても財政のタカ派からは反発されるとみられ、まだ楽観できる状況とはいえそうにありません。
ドル円で見ると、今年は108円台を底にレンジで推移していますが、複数の主要通貨に対するドルの価値をしましたドル指数でみると、年初からドル安が継続しています。トランプ大統領の政策が想定通り進んでいないことや緩慢なインフレによる利上げペースの減速見通しが背景にあると考えています。また、アメリカ第一主義の保護貿易という観点でみれば、ドル安は悪いことではなく、現状、企業や政権側からはドル安を否定する声も出てきてはいません。
ドル安が追い風になるのはまず資源価格で、銅やアルミニウムの価格が上昇しています。また、新興国株にとってもプラスで、この1年は特にドルとは逆相関の動きになっています。
ドル指数は目先は切り返す可能性があるとみています。ドル指数の構成比率を見ると、約6割が対ユーロで、足元のドル安はユーロ高によるものとも言い換えることができます。また、アメリカとドイツの利回り格差を見ると、足元のユーロ高はやや行き過ぎています。ECBのテーパリング発表に向けた過度な期待感が後押ししていると考えられるため、ユーロが落ち着けば、ドル指数は底を打つとみられます。
« S&P500を運営するS&Pダウジョーンズインデックスは新たに種類株を発行して上場する企業は構成銘柄と認めないと発表したほか、その他の主要な株式指数を提供する機関も同様の措置を決めていて、種類株への議論にはしばらく注目です | トップページ | マイクロソフトは今月からスカイプを通じて個人間の送金サービスを開始したほか、秋にはアップルがアップルペイを使って市場に参入するなど幅広い企業にとってビジネスチャンスになると期待が高まっています »
「Newsモーニングサテライト」カテゴリの記事
- アルコール飲料に新たな動き(2022.10.07)
- アメリカ小売決算の注目点は?(2022.10.06)
- アメリカ株価上昇の背景は?(2022.10.05)
- アメリカ中間選挙 市場の影響は(2022.10.04)
- アメリカ金融大手 決算見通し(2022.09.30)
この記事へのコメントは終了しました。
« S&P500を運営するS&Pダウジョーンズインデックスは新たに種類株を発行して上場する企業は構成銘柄と認めないと発表したほか、その他の主要な株式指数を提供する機関も同様の措置を決めていて、種類株への議論にはしばらく注目です | トップページ | マイクロソフトは今月からスカイプを通じて個人間の送金サービスを開始したほか、秋にはアップルがアップルペイを使って市場に参入するなど幅広い企業にとってビジネスチャンスになると期待が高まっています »
コメント