地銀の主要な収入源である金利収入は伸びることが前提となっている中で、長期金利が上がらないままだと、利ザヤも思ったほど稼げず、今後の株価の波乱要因になると考えています
2017年10月20日(金)Newsモーニングサテライト
三井住友アセットマネジメントNY 三浦仁孝さん
塗料大手のPPGインダストリーズは主に工業製品向けの特殊塗料を供給する会社で、幅広い分野に製品を提供しているので、景気動向を見極めるうえで示唆に富んでいます。業績の中身を見ると、北米の飲料缶などのパッケージ向けの塗料は成長が著しく、好調継続が見て取れる一方、DIY向け塗料は需要が落ちているなど、塗料が使われる最終市場ごとに需要にばらつきがありました。
原材料コストの上昇が利益率の押し下げ要因となっていますが、このコストを価格転嫁できた市場とできなかった市場とがあるようです。たとえば、ヨーロッパの建設向け塗料について、製品価格引き上げが受け入れられなかったと名指しでコメントしている点は注目で、ヨーロッパの建設需要はあまり強くないとも読み取れます。世界的に緩やかな景気回復が続いているものの、その広がりには強弱があることを示しているかもしれません。
ここまで地銀の決算は総じて堅調な業績発表になっていると感じており、トランプ政権にとって重要な支持基盤である地方でも経済環境は良好と言えそうです。有力地銀の1株利益実績を見ても、市場予想を大きく下回った銀行はほとんどない状況です。ただし、決算発表後の株価は軟調なものが目立ちます。
投資家の期待が数字で表れている以上に高く、少しでも足りない点があると評価しないといったレベルにまで達しているためと思われます。たとえば、富裕層向けビジネスに強みを持つファーストリパブリックバンクは競争環境激化に伴う経費の増加、有力地銀のUSバンコープは住宅ローン関連の手数料の落ち込みが目立ったことがそれぞれ嫌気され、いずれも決算発表当日の株価は下落しました。
現在、多くの投資家は利上げが緩やかながら実施される環境下では金利収入が伸びて当然と考えているからです。地銀の主要な収入源である金利収入は伸びることが前提となっている中で、長期金利が上がらないままだと、利ザヤも思ったほど稼げず、今後の株価の波乱要因になると考えています。
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