こういった収入の増加が映画館運営会社の株価回復につながる可能性があるほか、客足の回復で映画の興行収入自体も増加し、幅広い関連企業への好影響が期待されます

2017年11月22日(火)Ｎｅｗｓモーニングサテライト

ＳＭＢＣ日興セキュリティーズアメリカ　大塚祐貴さん

共和党議員のうち3人が反対票を投じれば、税制改革法案は上院を通過できなくなります。下院の案とは異なり、上院の税制改革案にはオバマケアによる個人の健康保険加入義務を撤廃する内容が盛り込まれ、以前この法案に反対した共和党議員が3人いたことから、このままでは可決は厳しいとみています。

法案を成立させることのほうが優先度が高いと考えられ、この条項は結局除外される可能性があります。しかし、医療保険加入義務の撤廃は今後10年にわたり3380億ドルの財源を確保すると試算されており、財政負担を軽減させることができます。これがなくなると、財源の確保が難しくなり、結局は現在35％から20％に引き下げようとしている法人税率の修正などの影響が懸念されます。

映画業界の中でも特にＡＭＣなど映画館を運営する企業の株価は年初来で下落しています。インターネットの高速化が進み、新作映画も公開後数カ月たてばネットフリックスなどで視聴できるようになっていて、映画館から客足が遠のいていることが要因だと考えられます。

月額約10ドルの定額料金を支払うことで映画館で映画を毎日1作品観ることができるムービーパスと呼ばれる新しいサービスがアメリカで普及し始めています。今年の夏に大幅に料金を引き下げ、契約者数が8月のおよそ2万人から10月時点で60万人以上に急増しています。

映画を安く観れることができる分、映画館での飲食に使うお金が増える可能性があります。一般的にチケット収入は半分以上が映画フィルムの使用料や広告費用などの費やされるのに対し、売店収入に占めるコストは10％台となっています。こういった収入の増加が映画館運営会社の株価回復につながる可能性があるほか、客足の回復で映画の興行収入自体も増加し、幅広い関連企業への好影響が期待されます。