トランプ大統領は事前にブロードコムと駆け引きを行い、アメリカ企業になれば、クアルコムの買収を認めるといった条件を提案していた可能性もあるといわれています
2017年11月7日(火)Newsモーニングサテライト
米国みずほ証券 兼松渉さん
投資家の恐怖心を示すとされるVIX指数が先週金曜日には史上最低となる9.14を記録しました。これと併せて注目しているのが仮想通貨、ビットコインの価格です。こちらは懐疑的な投資家が多い中でもVIX指数とは対照的に史上最高値圏にあります。
ビットコインは既存の通貨とは異なり、中央銀行なような管理者がなく、今後、規制となるリスクも高い投資先です。ビットコインが史上最高値を更新している一方で、VIX指数が過去最低という組み合わせは投資家のリスク許容度の高まりを示していると考えています。ビットコインについては供給が限られているため、まだ上昇の余地があるとの強気な見方も多いようですが、投資家がリスクを負う動きをどこまで続くかといった点も投資を考えるうえでは重要なポイントとなると考えています。
IoTや人工知能のAIなど技術の革新進む中で、半導体業界における寡占化が進んでいます。両社ともに通信用半導体メーカーですが、ブロードコムは有線ブロードバンドやWifi、クアルコムは4Gなどの無線通信と得意分野がそれぞれ異なるため、お互いの技術やノウハウを合わせることによる相乗効果、そしてコスト削減の余地も大きいとされています。
クアルコムが今回の買収提案の抵抗する姿勢を見せているほか、両社ともにすでに別の買収案件を抱えていることも買収交渉を複雑化するリスクがあるといわれています。また、買収の規模が非常に大きいことで、アメリカの規制当局が難色を示す可能性もあるといわれています。
実はこの買収計画が報じられた前日にトランプ大統領自らが登記上シンガポール企業であるブロードコムのアメリカ回帰を発表しています。半導体特許やライセンスをビジネスとするアメリカのクアルコムを登記上シンガポール企業のブロードコムを買収するということは規制当局が認めないことが予想されますが、トランプ大統領は事前にブロードコムと駆け引きを行い、アメリカ企業になれば、クアルコムの買収を認めるといった条件を提案していた可能性もあるといわれています。こういった政治的な動きも見え隠れする今回の買収、その行方に投資家の注目も高まっています。
« アメリカ市場の正の循環に期待したいところです。その点、今週決算のアリババ、そして来週はオンライン旅行大手プライスラインやホテル大手のマリオット、これらの業績見通しに注目しています | トップページ | もちろんあらゆる側面で投資家の期待を上回っている間は問題がないのですが、投資家の群集心理が高まる中、わずかでも期待に届かない面が出てきたとき、急落するリスクがあり、注意が必要と感じています »
「Newsモーニングサテライト」カテゴリの記事
- アルコール飲料に新たな動き(2022.10.07)
- アメリカ小売決算の注目点は?(2022.10.06)
- アメリカ株価上昇の背景は?(2022.10.05)
- アメリカ中間選挙 市場の影響は(2022.10.04)
- アメリカ金融大手 決算見通し(2022.09.30)
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: トランプ大統領は事前にブロードコムと駆け引きを行い、アメリカ企業になれば、クアルコムの買収を認めるといった条件を提案していた可能性もあるといわれています:
« アメリカ市場の正の循環に期待したいところです。その点、今週決算のアリババ、そして来週はオンライン旅行大手プライスラインやホテル大手のマリオット、これらの業績見通しに注目しています | トップページ | もちろんあらゆる側面で投資家の期待を上回っている間は問題がないのですが、投資家の群集心理が高まる中、わずかでも期待に届かない面が出てきたとき、急落するリスクがあり、注意が必要と感じています »
コメント