WTI原油価格で少なくとも50ドルが必要との強い認識が見られたことから、50ドル以下では生産調整が実施されます。したがって、当面は50ドルから60ドルでの推移を予想しています
2017年12月7日(木)Newsモーニングサテライト
三井住友アセットマネジメントNY 曽根良太さん
中東の懸念に対する原油価格への織り込みというのは対照が主要産油国でない場合は限定的です。ただ、政情不安に対する懸念で投資家がリスク回避的な動きとなり、サイクルの高値付近では今日のように利益確定の売りが出ることもあります。一方で、足もとはOPECの減産の結果として、余剰生産能力に余裕があるので、万が一の時の供給余力に対して安心材料になっていると思います。
それ以上に税制改革の進展が大きいと感じています。今週、ニューヨークで投資家向けの企業カンファレンスがいくつか開催されましたが、大手銀行が来年の景気見通しに強気になっている点が印象的でした。秋ごろまであった政策の不透明感が薄れ、税制改革によって企業活動が強まるとの見方が増えているようです。また、ウォルトディズニーが21世紀フォックスの一部事業の買収を検討しているなどの報道もあって、M&A活動の盛り上がりが株式市場に追い風になるとの期待もありました。
減産期間の9カ月延長やリビアとナイジェリアへの生産への上限設定、そして減産量の拡大に踏み込まなかったことなど市場予想通りの着地でした。WTI原油価格は一時60ドルを目指し、その後も総会前の水準を保つという動きになりました。
前回5月のOPEC総会では減産の延長など市場予想通りの内容でしたが、原油価格は直後に下げが重なり、その後、下落トレンドに入りました。今回も同様の動きを予想していた証券会社のアナリストも多かったのですが、今回は値持ちがよく、やや予想外との印象を持っています。
それまでの供給過剰の最大の原因とされたシェール生産会社の生産方針です。今週、シェール関連企業に取材しましたが、投資家からの根強い要望を受けて、来年は生産拡大路線から収益性重視へと方向転換するようです。WTI原油価格で少なくとも50ドルが必要との強い認識が見られたことから、50ドル以下では生産調整が実施されます。したがって、当面は50ドルから60ドルでの推移を予想しています。
« キャパシティの増加に伴い、利用者の増加が見込まれるだけではなく、テクノロジーの活用でクルーズ船はこれまで以上に非日常的な空間という魅力が高まりそうです | トップページ | 8年ほど続いている強気相場においてアメリカの個人投資家による積極的な株式投資が始まったということは相場の過熱感を示すのではという見方もあり、油断は禁物であると考えています »
「Newsモーニングサテライト」カテゴリの記事
- アルコール飲料に新たな動き(2022.10.07)
- アメリカ小売決算の注目点は?(2022.10.06)
- アメリカ株価上昇の背景は?(2022.10.05)
- アメリカ中間選挙 市場の影響は(2022.10.04)
- アメリカ金融大手 決算見通し(2022.09.30)
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: WTI原油価格で少なくとも50ドルが必要との強い認識が見られたことから、50ドル以下では生産調整が実施されます。したがって、当面は50ドルから60ドルでの推移を予想しています:
« キャパシティの増加に伴い、利用者の増加が見込まれるだけではなく、テクノロジーの活用でクルーズ船はこれまで以上に非日常的な空間という魅力が高まりそうです | トップページ | 8年ほど続いている強気相場においてアメリカの個人投資家による積極的な株式投資が始まったということは相場の過熱感を示すのではという見方もあり、油断は禁物であると考えています »
コメント