株価収益率の上昇度合いが小さい業種の中でも金融セクターは今後の利上げが追い風になると考えられ、成長力への期待が高まる可能性があります。投資のタイミングを狙うチャンスがまだ十分にあると考えます
2018年1月31日(水)Newsモーニングサテライト
日本生命NY 加藤裕之さん
今日はアマゾンがJPモルガン、バークシャーハザウェイと共に合わせて100万人を超える3社の従業員に対してヘルスケアサービスを提供する企業を設立すると発表したことから、関連セクターが下落する展開となっています。
ヘルスケア関連コストはアメリカ経済全体の約2割を占めており、コスト増加や手続きの煩雑さが常に課題とされてきました。これを解決するにあたり、消費者データの収集、分析に長けるアマゾンとJPモルガン、そして保険ビジネスの経験が豊富なバークシャーが手を組んだということです。
アマゾンやバークシャーは中長期で投資するための資金力の余裕も大きいため、既存のヘルスケア関連企業にとって脅威になると思われます。ただ、医療関係機関との新たな契約の締結、膨大な医療関連データの収集といった準備に少なくとも2~3年かかるとされています。また、規模が大きくないと利益が出ないビジネスのため、3社合わせて100万人ほどで利益を出すのは困難であるとも言われており、実際に他社にとって脅威となるのはまだかなり先の話とみています。
目先12カ月利益ベースでの株価収益率は18.3倍と過去15年でみても最も高い水準まで上昇してきており、好調な企業業績や減税効果が期待を支えているとはいえ、全体としては割高との懸念はぬぐえません。ただ、株価収益率をここ数年の上昇度合いを業種ごとに見てみると、すべてが同じように割高になっているというわけではありません。
将来の成長力への期待が高いITや一般消費財は2014年から16年の平均と比べ大きく上昇しています。一方で、株価収益率の変化がS&P500指数全体を下回る業種は成長力への期待がそれほど高まっていないといえます。つまり投資家がファンダメンタルズに基づいて冷静に業種選別をしていることを意味するので、足もとの最高値更新にはしっかりとした裏付けがあると考えます。
株価収益率の上昇度合いが小さい業種の中でも金融セクターは今後の利上げが追い風になると考えられ、成長力への期待が高まる可能性があります。投資のタイミングを狙うチャンスがまだ十分にあると考えます。
« 足もとの調査では企業は引き続き人材の採用に積極的であること示しています。まだ、失業率反転の兆しは見られず、メルトアップ後でも株価は堅調に推移しそうです | トップページ | バークシャーは本業が保険や鉄道といった内需事業が中心なので、税制改革の恩恵を大きく受けられます。また、保有している株式には金融株が多く含まれており、金利上昇が追い風になることからダークホースといえそうです »
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