IBMなどハイテク各社がこれまで実現している性能はスーパーコンピューターを上回るとされる水準に近づいており、覇権争いが今後さらに熱を帯びていくと考えます
2018年1月19日(金)Newsモーニングサテライト
東海東京証券アメリカ 手塚理恵さん
モルガン・スタンレーの17年10-12月期決算では債券のトレーディング収入が1年前から45%減少しましたが、富裕層向けのウェルスマネジメント収入が過去最高を記録し堅調でした。前日にライバルとされるゴールドマン・サックスの時価総額を11年ぶりに上回りましたが、決算でも差が出ました。
両者の戦略の違いがここにきて表れていると思います。ゴールドマン・サックスはトレーディングに注力し、大規模な商品部門を維持した一方、モルガン・スタンレーはトレーディング部門を縮小しながら、富裕層向けの資産運用の安定を目指しました。同じようにトレーディング収入が減少する中でも、全体に占める割合が違うことから市場の評価は異なっています。ゴールドマン・サックスも新規事業などの対策を取っていますが、結果として出るにはまだしばらく時間がかかりそうです。
量子コンピューターはスーパーコンピューターに代わり得る新たなコンピューターとしてIBMやグーグル、マイクロソフトなどの間で技術開発が進み、去年10月以降、相次いで試作機の稼働や一部顧客への提供に成功しました。
これまでコンピューターの発展を支えてきた半導体の処理速度の向上について限界が近いとの懸念が出てくる中で、量子コンピューターに注目が集まっています。これはスーパーコンピューターとは違った計算方法を使うことで、特定の計算において1億倍以上の高速化が実現できるとされます。
量子コンピューターが得意とするのは膨大なパターンが存在するものの中から最適な答えを導き出す計算です。例えば、複数の経由地があるときの目的地までの最短ルートや最もリターンが得られる資産のポートフォリオ、また新薬の開発で、膨大な物質の中から効果の高い組み合わせを短期間で見つけるなど多くの分野への応用が期待されます。IBMなどハイテク各社がこれまで実現している性能はスーパーコンピューターを上回るとされる水準に近づいており、覇権争いが今後さらに熱を帯びていくと考えます。
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