今月決算を発表したリサイクル事業を手掛ける企業はスクラップや非鉄の価格が上向いており、リサイクル事業が好調だったとコメントしています。今後は経済成長や企業の設備投資拡大なども電化製品の買い替えを促し、追い風になると考えています
2018年1月9日(火)Newsモーニングサテライト
岡三証券NY 近下篤子さん
先週末発表された雇用統計では賃金の伸びの加速が確認されましたが、ほかにも今年からニューヨークやフロリダなど18の州で最低賃金の引き上げが実施されました。対象は労働者450万人になると推定されています。
近年、州や市など自治体ベースで取り組みが目立っている一方で、肝心の連邦政府が掲げる最低賃金は2009年を最後に一度も引き上げられておらず、賃上げの対象者は限定的です。例えば、一部の民主党議員が掲げている2024年までに最低賃金を約2倍に引き上げるとの提案では対象は労働者4150万人に及ぶことから、賃金の底上げに寄与すると期待されますが、実現へのハードルは高く、賃上げの動きが物価の上昇に波及するには政府による取り組みが必要だと考えています。
E-wasteに注目しています。E-wasteとは白物家電やテレビ、IT端末といった電化製品のごみのことを指し、個人所得の増加や製品多様化、買い替えサイクル短期化などを背景に今後も増加することが予想されます。
これらのE-wasteには金や銅、プラスティックなどの素材が使われており、きちんと分解すれば、その価値は世界で660億ドルに達すると想定されています。ただ、適切に処分され、リサイクルされる電化製品は全体の2割程度しかありません。アメリカのような先進国でも電化製品の処分に対する規制が十分ではなく、E-wasteの回収率は2割強に留まっています。
リサイクル業界はこれまで鉄くずなどスクラップ価格の低迷が逆風となっていましたが、足もとでコモディティ価格が回復していることから収益改善が見込まれます。実際、今月決算を発表したリサイクル事業を手掛ける企業はスクラップや非鉄の価格が上向いており、リサイクル事業が好調だったとコメントしています。今後は経済成長や企業の設備投資拡大なども電化製品の買い替えを促し、追い風になると考えています。
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