FRB高官から過度なインフレ懸念を和らげる発言が出てきたり、パウエル議長が状況次第で金融政策を見直し姿勢を示し、同時にアメリカ経済の強さを伝えることで、徐々に落ち着きを取り戻すと考えています
2018年2月7日(水)Newsモーニングサテライト
岡三証券NY 近下篤子さん
世界的な株安を受けて本日は落ち着きどころを探っている印象です。昨日は見切り売りやプログラミングによる自動売買などが急落を主導したとみられますが、本日は特段の材料がない中でもVIX指数は2015年8月の中国人民元ショック以来の50を付けるなど、投資家は不安定な相場から一旦身を引く動きを強めているようです。
相場の過熱感だと考えています。株価の水準を計る指標の一つで、企業の売上高と株価の関係を示す株価売上高率、PSRを見ると、これまでの株価上昇を受けて、ITバブル時の水準まで上昇しています。企業業績は収益性の改善を拝見に利益拡大が続いていますが、売上高ベースで考えると、バブル期の水準まで上昇していたように、ほとんどの指標が過熱感を示しており、売りのタイミング待ちの状況であったと考えられます。
2013年5月、当時のバーナンキFRB議長が量的緩和からの出口について言及し、FOMCでも同じスタンスを貫いたことから金利は上昇、株価は下落となり、レンジ相場が半年近く続きました。ただ、金利の上昇が一服するにつれ、株価は年末にかけて高値を更新しました。
金利の急激な変動によってリスク回避の動きが一気に高まったのは共通していますが、金利の先高観という点で事情が異なります。当時は出口に言及したものの、緩和的な政策は継続しており、実際、翌年、金利は低下に転じました。一方、今回は経済成長や所得の増加、企業業績の拡大が期待される中、利上げ局面にあって金利の先高観は否めません。
今後の金融政策次第だとみています。金利の上昇が緩やかなペースに留まれば、それを好調な経済の裏返しと前向きに受け止める動きも出てくると思われます。今後、FRB高官から過度なインフレ懸念を和らげる発言が出てきたり、パウエル議長が状況次第で金融政策を見直し姿勢を示し、同時にアメリカ経済の強さを伝えることで、徐々に落ち着きを取り戻すと考えています。
« 1985年以降、コアPCEデフレーターが1年間0.5%以上加速したのは約10%程度となっており、今年中に2%に達する可能性は低いと言えそうです。2%を下回り続ける限り、FRBは市場が懸念しているほどタカ派的な動きにならないと考えられます | トップページ | いつ起こるかというのは予測できないんですけれども、最近のように保険料が下がっているのに、これを喜んで保険を売るという人が多くなってくれば、要注意だということです »
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