今も消費は好調ですが、急激な原油価格の下落は景気減速のきっかけにもなりうるため、注意が必要と考えます
2018年11月30日(金)Newsモーニングサテライト
東海東京証券アメリカ 手塚理恵さん
まずプラスの面ですが、ガソリン価格の下落などを通じて個人消費にとって追い風となっています。実際、トランプ大統領は減税効果に等しいと歓迎しています。ただ、当然マイナス面もあります。
信用格付けの低いハイイールド債は市場規模1兆ドルのうち45%をエネルギーセクターが占めているため、シェール関連企業の信用力がハイイールド債の利回りに影響します。原油価格が低下し、零細のシェール企業が経営難に陥るとの懸念が拡大すると、ハイイールド債の利回りが上昇、そうなると資金調達コストが高まり、厳しい状況に陥る企業が一段と増える可能性も否定できません。
2014年夏から2016年初めにかけて原油が急落した時にはエネルギー産業の生産が激減し、鉱工業生産指数の伸び率は前年比でマイナスと過去の景気後退期のレベルまで後退しました。この時は個人消費が堅調で景気後退に陥ることはなかったものの、設備投資の減速を受けて、2015年10-12月期にGDPがプラス0.4%まで落ち込みました。今も消費は好調ですが、急激な原油価格の下落は景気減速のきっかけにもなりうるため、注意が必要と考えます。
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