銀行の収益改善につながる金利の先高観も薄れており、銀行株の上昇には規制緩和だけではなく、経済の高成長が持続することが必要だとみています
2018年11月14日(水)Newsモーニングサテライト
岡三証券NY 近下篤子さん
先週9日、FRBが金融機関に対する監督と規制の報告書を初めて公表し、アメリカの銀行の資本構造や流動性が大きく改善したと指摘したうえで、その健全性を損なわない範囲で、銀行のコンプライアンス費用などを最小限に抑える方針を示しました。
ただ、今回の報告書では大手行の4割以上がリスク管理の基準を満たしておらず、依然として対応が不十分とも指摘しています。また、FRBのクオールズ副議長はストレステストの緩和について、大幅な修正は早くとも2020年まで実施されることはないと述べており、不透明感も残っています。こうした中、今週14日からはクオールズ副議長の議会証言があり、規制緩和の詳細やFRBの今後の取り組みについて明らかになる可能性があります。
アメリカ経済の見通しが低調なことが金融セクターの重しになっていると考えられます。ニューヨーク連銀が今後1年以内にリセッションに突入する確率を金利先物の動きから算出していますが、こちらは上昇トレンドにあり、減税の恩恵一巡や貿易摩擦の影響などを背景にアメリカ経済は成長率が徐々に減速すると見込まれています。銀行の収益改善につながる金利の先高観も薄れており、銀行株の上昇には規制緩和だけではなく、経済の高成長が持続することが必要だとみています。
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