どうなる?ストレステスト
2020年3月31日(火)Newsモーニングサテライト
SMBC日興セキュリティーズ・アメリカ 大塚祐貴さん
どうなる?ストレステスト
ウイルスの経済への悪影響についてはFRB連邦金融制度理事会が銀行へのストレステストを行う際に想定したシナリオが参考になると考えています。ここでの最も深刻なシナリオは4-6月期のGDP成長率がマイナス9.9%に落ち込むというものでしたが、市場ではこれよりも悪化することが一部で予想されています。失業率についても同様です。また、株式市場に関しても、シナリオで想定されていた4-6月期までのダウ平均の水準を一時割り込みました。FRBが最も深刻としたシナリオよりも現状は厳しいことが確認できます。
大手行は4月6日までにストレステストを実施し、FRBは6月末に結果を公表するスケジュールとなっています。ただ、足元の環境がストレステストの設定よりも深刻なことからテストにはほとんど意味がないと指摘する声もあります。実際、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は20日、今年のストレステストを中止すると発表しました。
例え今年のストレステスト結果に意味がなくても、そもそもFRBのストレステストは2008年の金融危機を教訓として導入されたものであり、当時と比べれば、銀行の健全性が向上し、こうした混乱期に備えてきたといえます。また、ストレステストはFRBと銀行との対話を促す機能ともいえ、不透明な環境でこそ対話を続けることが市場の安心感につながるとも考えられます。
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