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最低法人税率の動き

2021年4月7日(水)Newsモーニングサテライト

SMBC日興セキュリティーズ・アメリカ 大塚祐貴さん

最低法人税率の動き
背景には多くの多国籍企業がタックスヘイブン、租税回避地を利用し、法人税率の支払いを抑えてきたことがあります。租税回避地でない一部の先進国でも企業誘致を目的とした法人税率の引き下げ競争が強まり、1980年に約40%だった世界の法人税率は2020年に23%程度にまで低下しています。バイデン政権はアメリカの連邦法人税率を現行の21%から28%に引き上げる提案をしており、イエレン氏の呼びかけは世界の法人税率引き下げ競争に歯止めをかけることで、アメリカ企業の海外移転を防ぐ目的とみられます。
経済の成熟度も産業構造も異なる世界の意見を一致させるのは至難の業で、早期に一律の最低税率が導入される可能性は低いとみられています。法人税に世界共通の最低税率を設定することについてはもともと2019年ごろからOECD、経済協力開発機構で議論が始まっており、当時は最低税率は15%前後になるとの見方が広がっていました。各国の法人実効税率は先進国ではおおむね20%以上となっているため、最低税率を支持する見込みですが、ハンガリーやアイルランドといった法人税率が低い国は最低税率の導入で法人税の引き上げを迫られ恐れがあるため、反発する可能性があります。ただ、もし議論が進めば、資産や商標をアイルランドなど税率を移すなどして節税している一部のハイテク企業にとって特に逆風となる可能性があるため注目しています。

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