化学肥料 高騰の影響は?
2021年10月27日(水)Newsモーニングサテライト
東海東京証券アメリカ 阿部司さん
化学肥料 高騰の影響は?
理由の一つはサプライチェーンの混乱による供給制約ですが、もう一つの大きな原因は肥料の原料となるアンモニアを作るのに必要な天然ガスの価格が需給のひっ迫を背景に足元で大きく上昇していることです。天然ガスの価格高騰を受けて、ヨーロッパではアンモニアの生産を自主的に中止する工場も出ています。
アメリカではトウモロコシの栽培などで窒素肥料が多く使われます。この窒素肥料の価格の方向性を掴む上で最も参考になるのはアメリカ西部の穀倉地帯コーンベルトにおけるアンモニアのスポット価格です。この秋に価格の上昇が一段と加速しており、9月に入ってから先週末までの間におよそ66%上昇しています。こうしたことから肥料価格の上昇はしばらく続くとみられますが、農家からの肥料の需要は今のところ衰えておらず、肥料メーカーの収益には追い風です。アメリカの肥料大手、モザイクの株価は去年の年末に比べ8割以上上昇し、同業のCFインダストリーズの株価も5割を超えて上昇しています。
インフレは政治への不満につながるため、1年後に迫った中間選挙への影響が気になります。農家は肥料だけではなく、燃料など様々なコストの増加に直面しています。もし農家がコストの上昇分を価格に転嫁した場合、都市部で多くの支持者を抱えるバイデン政権にとっては大きな打撃となります。バイデン大統領の支持率はアフガニスタンから米軍が撤退する際に起きた混乱などで、すでに40%台に低下しているため、肥料価格の上昇は民主党にとって新たな頭痛のタネになりかねないという指摘も出ています。
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