アメリカ 9月の雇用統計を占う
2021年10月7日(木)Newsモーニングサテライト
マキシム・グループ 久野誠太郎さん
アメリカ 9月の雇用統計を占う
ブルームバーグが調査したエコノミストの予想中央値によると9月の非農業部門雇用者数は前の月から50万人増加すると見込まれています。前回8月の23万5000人から伸びが加速し、労働市場では引き続き改善の動きがみられそうです。失業率も5.1%と8月から改善する見通しです。
賃金を示す平均時給は前の月から0.4%、1年前からは4.6%上昇すると予想されており、人手不足による賃金の上昇圧力が継続すると見込まれています。アメリカでは9月の新学期を迎えて各地で対面授業が再開したほか、9月初めには失業給付の上乗せ措置がすべての州で終了しました。そのため大勢の人が仕事に戻ることが期待されていましたが、新規失業保険申請者数は9月に入って3週連続で増加するなど、労働市場の逼迫が解消される兆候は見えていません。こうした中、飲料大手のペプシコは5日、人件費の上昇などコスト増加を背景に追加の値上げに踏み切る可能性を示唆しました。また、5日には食品メーカーのケロッグでおよそ1400人の従業員がストライキを行っていると報じられました。従業員は強い需要に応えるために長時間労働を強いられているとして、待遇の改善を求めています。アメリカは働き手が優位な売り手市場となっており、企業は人材確保の要するコストが一層高まる可能性があります。今週末に発表される雇用統計で賃金の上昇傾向が続くことが確認されれば、年内の量的緩和縮小開始へと向けてさらに前進することになりそうです。
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