カテゴリー

最近のコメント

« 2022年6月 | トップページ | 2022年8月 »

2022年7月

アメリカ オフプライスストアに注目

2022年7月29日(金)Newsモーニングサテライト

岡三証券NY 荻原裕司さん

アメリカ オフプライスストアに注目
百貨店大手のメーシーズは今年春からメーシーズバックステージという店の出店を強化しています。
また、2020年に破産した衣料品大手、センチュリー21が来年ニューヨークに再出店する予定です。
これらの店はオフプライスストアーズであるという共通点があります。
オフプライスストアとは余剰在庫を仕入れて、低価格で販売する店のことです。
高インフレが続く中、割引価格で買い物をしたいという消費者は増えていると想定され、オフプライスストアへの需要は高まっています。
実際にオフプライスストア大手のTJXカンパニーズは5月に決算発表した小売企業の中でも相対的に堅調な業績を示しています。
品揃えがよくなっていることも要因の一つです。
去年に比べ、最近は大手小売りチェーンで在庫が大幅に増加しており、オフプライスストアは仕入れがしやすい環境になっていると考えられます。
また、このような動きを受けて、在庫整理業者にも注目が集まっています。
オンラインで余剰在庫などを買い取って、販売するリクイディティサービシズは前回の決算で取扱量が大幅に増え、7月にはケンタッキー州で新たな物流倉庫を開設したと発表しました。
余った在庫と出店拡大に期待が持てるオフプライスストアを結び付ける存在として今後も注目が集まりそうです。

アメリカ 大手IT企業決算を分析

2022年7月28日(木)Newsモーニングサテライト

大和証券CMアメリカ 森本裕貴さん

アメリカ 大手IT企業決算を分析
マイクロソフトですが、ドル高やパソコン売り上げの鈍化の影響を受け、決算の実績は冴えない内容でした。
一方で、業績の先行指標は好調で、例えば企業向けの受注残の伸びは前年比プラス34%で、前四半期のプラス33%から伸びが加速しました。
マクロ環境の不透明感が増している中で、強い受注を保っていることはマイクロソフトの業界内での地位の高さを物語っています。
アルファベットは悪いところと良いところが混在する決算内容でした。
悪いところはユーチューブ広告の失速や広告売上の1割程度を占める旅行業界の広告需要が足元で厳しさを増していると言及したことです。
一方で、良いところは景気懸念が強まる中でも、主力の検索広告への需要が衰えていなかったことです。
実はこの両社は市場の期待値が全くの真逆でした。
比較的景気耐性の強い企業のIT投資を取り込むマイクロソフトの期待は高く、景気動向に揺さぶられやすい広告を主力とするアルファベットへの期待値は非常に低い状態でした。
この真逆の両者が各々のハードルを越えられたことは今後続くIT企業の決算に臨む市場参加者のマインドを大きく勇気づけてくれたと思います。

アメリカ 動画配信市場の競争激化

2022年7月27日(水)Newsモーニングサテライト

東海東京証券アメリカ 中川幾代さん

アメリカ 動画配信市場の競争激化
ネットフリックスの4-6月期決算では契約者数の減少幅は市場が予想したほど悪くなかったという安ど感から決算発表以降、株価は若干上昇しています。
しかし、2021年11月に付けた最高値からはまだおよそ70%も値下がりしており、広告付きの廉価プラン導入が市場から好感されたとは言いにくいです。
ライバルの一つディズニープラスは1-3月期には契約者数を790万人増やしました。
広告付きプランも年内に導入予定です。
ディズニーは複数の動画配信サービスを運営しており、ディズニープラスとhulu、スポーツ専門のESPNとの抱き合わせプランなどでも攻勢をかけています。
投資家の間では巣ごもり需要を受けて大きく成長した動画配信市場は競争激化を受けて飽和状態と成長鈍化が懸念されています。
ネットフリックスは広告技術販売でマイクロソフトと提携しましたが、どこまで広告付き動画配信サービスで収益を拡大できるかは未知数です。
一方で、ネットフリックスのコンテンツの質や人気には定評があり、全世界2億2000万人の視聴者にリーチできる潜在性からも広告主側の関心は非常に高いとみています。
また、歴史的にも景気減退期には家で楽しむ娯楽は強いとみられています。
民間の調査では高インフレを受け、出費を抑えるためにより安価な代替品への切り替えを検討するかという質問に対し、約半数がハイと答えた結果も出ています。
巣ごもり終了から景気減退へと移行していく過程で動画配信市場がどのようにオンライン広告から収益性を上げていくのかに市場は注目しています。

アメリカ ガソリン価格の見通しは

2022年7月26日(火)Newsモーニングサテライト

日本生命NY投資現地法人 石田大輔さん

アメリカ ガソリン価格の見通しは
全米レギュラーガソリン平均価格は6月中旬に1ガロン当たり5ドルを突破しましたが、足元4.3ドル台まで下落しています。
原材料である原油価格が下落していることに加えて、ガソリン価格の高止まりを受けて、予想以上に夏のドライブ需要が抑制されているためです。
例年、アメリカのガソリン在庫量は夏のドライブシーズンには減少する傾向にありますが、今年は6月半ばを底として、足元、数週間は増加傾向となっています。
過去の経験則に基づくと、秋以降はガソリン価格が低下傾向です。
しかし、アメリカにおけるガソリンのサプライチェーンには過度なストレスがかかっていると考えており、供給制約から下げ渋る可能性も捨て切れません。
コロナ禍で需要が大幅に減少したことやESGの流れを受けて、老朽化したガソリンの製油所が閉鎖され、新規の投資も進んでいません。
その結果、全米の原油処理能力は2020年4月のピークから1日当たりおよそ100万バレル程度縮小しています。
製油能力に限りがある中、アメリカの製油所の稼働率はおよそ94%と通常よりも高い状態が続いており、メンテナンスが先送りされている結果、設備故障などの不測の事態が起こる可能性が高まっています。
また、アメリカ大洋大気庁によると今年のハリケーンリスクは例年以上に高く、メキシコ湾岸の製油所における操業停止リスクもあるとみられています。
ガソリン価格は消費へのインパクトが大きく、金融政策を決めるうえでFRBが重視する期待インフレとも相関が高まっています。
このためガソリン価格が下げ渋ると、タカ派な金融政策が続く可能性もあると注目しています。

アメリカ消費 所得格差が影響

2022年7月22日(金)Newsモーニングサテライト

岡三証券NY 𠮷田拡司さん

アメリカ消費 所得格差が影響
小売売上高の結果を見る限り、インフレの影響が大きいとはいえ、米国の個人消費は依然として底堅く推移しています。
ただ、調査会社モーニングコンサルトによるとアメリカでは所得水準によって消費意欲に大きな違いが出ているようです。
高くて購入をあきらめた人から高くても購入した人を差し引いて算出された価格感応度を所得別に見ると、5万ドル以上の世帯では高くても購入する人の割合が多い一方、5万ドル未満の世帯は高くて購入をあきらめた人の割合が多いことが示されています。
高インフレによって賃金の低い世帯の消費意欲は大きく衰退したと言えそうです。
調査機関ピューリサーチセンターによると、アメリカでは成人のおよそ3割が低所得者層に分類されていますが、全米の総所得に占める割合はわずか8%です。
一方、成人のおよそ2割の高所得者層が総所得の5割を占める状況で、年々この格差が広がっています。
また、国勢調査局が6月に実施した調査ではおよそ1370万世帯が家賃、もしくは住宅ローンの支払いが遅れていると回答しており、低所得者層を中心に生活が困窮していると見ています。
中高所得者層は現状、強い労働市場や過去の貯蓄などに支えられています。
しかし、積極的な利上げが進む中で、高インフレが長期化すれば、今、消費を支えている中高所得者層にも影響を与え、徐々に消費が失速することになりそうです。

要注意のアメリカ企業決算は

2022年7月21日(木)Newsモーニングサテライト

ホリコ・キャピタル・マネジマント 堀古英司さん

アメリカ インフレで好決算?
1-3月期決算では予想をほんの少し下回るか、また、予想を上回っても見通しが少し下振れるだけで株価が大幅に下落するというパターンが相次ぎました。
この1-3月期決算の苦い思い出もあって、市場では4-6月期決算に対する警戒感が非常に強くなっています。
しかし、19日まででS&P500採用企業の内、48社が発表しただけですけれども、利益では79%の企業が、売り上げでは71%の企業が予想を上回る好決算となっています。
答えはインフレにあると思います。
久しぶりのインフレ局面ですので、人々が忘れがちなんですけれども、企業業績というのは実質ではなくて名目だということです。
要するに決算というのはインフレ込みの数字が発表されるわけですから、見かけの数字はインフレによってかさ上げされています。
実際はそれほど良くなくても、発表される数字は悪くないはずです。

要注意のアメリカ企業決算は
いくつかのタイプが考えられます。
まずコストの高い企業ですね。
相対的にコストの高いビジネスというのは費用の方もインフレになっているので、利益を圧迫しやすいということ。
そして、負債、借金が多い企業、これは金利上昇局面ですので、利息負担が利益を圧迫すると。
それから景気に左右されやすい、これはそのままですけれども。
次に海外の売上比率が高い、これはドル高が進んでいるので、ドル建ての利益を圧迫するということですね。
それから中国向けのビジネスの比率が大きいと、中国のロックダウンの影響を受けるはずです。
この辺さえ気を付けておけば、今回の決算は全体でみればむしろインフレが好決算を後押しする可能性のほうが高いと考えています。

インフレ下でのアメリカ医薬品メーカー

2022年7月20日(水)Newsモーニングサテライト

東海東京証券アメリカ 武井章浩さん

インフレ下でのアメリカ医薬品メーカー
他の業界に比べインフレが利益に与える影響がそれほど大きくない医薬品メーカーに注目しています。
処方薬についてはアメリカでは実際に代金を支払うのが主に保険会社ということからコスト上昇分を価格に転嫁しやすく、需要へのインフレへの影響の小さいと言われています。
関節リウマチ薬リンヴォックなど患者数が少ない希少疾患治療薬を手掛ける製薬大手のアッヴィは2020年にしわ取りなどに使う薬剤ボトックスで知られるアイルランドの製薬大手アラガンを買収し、急成長しています。
2028年までに処方薬の売上高で世界最大の製薬会社になる可能性との予測もあります。
また、配当金の増額に力を入れていること、そして、12か月先予想PERはおよそ11倍と株価は値ごろ感もあり、高インフレにおいて魅力的な銘柄として取り上げられるようになっています。
懸念材料は売上の貢献度が大きいヒュミラのアメリカでの特許が2023年に切れることですが、強力な製品ラインナップと商品化を目指す案件が控えていることから、乗り切れると市場は予想しています。
ジョンソンエンドジョンソンの通期見通しの引き下げはドル高の影響としています。
ジョンソンエンドジョンソンは去年秋、医薬品と医療機器に事業を集中するため、バンドエイドや美容製品を販売するコンシューマーヘルス事業を分離すると発表し、株価は4月後半に最高値を付けました。
しかし、ドル高と分割をめぐる不透明感を半径にこのところ伸び悩んでいて、今後の見通しも市場では強気と弱気が入り混じっています。
方向感が出にくい展開は続くと予想されています。

アメリカ 商品価格下落の影響は

2022年7月19日(火)Newsモーニングサテライト

大和証券CMアメリカ シュナイダー恵子さん

アメリカ 商品価格下落の影響は
S&P500構成銘柄の過去3カ月の騰落率1位がモンスタービバレッジという飲料会社だったことに注目しています。
実はこの会社、アルミ缶の供給不足とアルミ価格高騰で、利益率が悪化し、3月までは株価が大きく下がっていました。
しかし、FRBが利上げを開始した3月をピークにアルミ価格がおよそ40%低下し、株価は反転、上昇しています。
商品先物市場ではアルミだけではなく、3月の高値から銅はおよそ45%、小麦はおよそ40&下落とウクライナ侵攻前の水準まで低下しています。
ガソリン価格も足元下がってきましたので、急増した企業のコスト負担は和らぎそうです。
また、こうした変化は数カ月のタイムラグの後、景気指標にも表れると予想されます。
大和総研アメリカのCPIの四半期ごとの予想では、7-9月期に8.8%でピークを付け、徐々に減速し、来年後半には3%台に落ち着くと見ています。
目先は物の価格が下がっても、サービス価格、特に住宅や家賃はタイムラグが1年以上あって、下がりにくいのですが、7月9月と大幅利上げが続くと、物価上昇に歯止めがかかってくると思っています。

アメリカ 半導体株の見通しは

2022年7月15日(金)Newsモーニングサテライト

大和証券CMアメリカ 矢澤賢さん

アメリカ 半導体株の見通しは
足元で半導体株に対する目標株価引き下げが相次いでいます。
マイクロンテクノロジーが6月末に発表した決算で、6-8月期の業績見通しが市場予想を大きく下回ったことが直接的な要因です。
パソコンやスマホなどの消費者向け製品市場の見通しを引き下げたことを受け、インテルやAMD、エヌビディアなどの関連する半導体株に対する弱気な見方が目立っています。
すでにこの業績悪化を先取りして織り込んだのが今の株価だと考えているからです。
株価は1株当たり利益のEPS×株価収益率のPERで計算できますが、主要半導体株で構成されるSOX指数の騰落率をEPSとPERに分解すると、今年の下落のほとんどがPERの低下が要因です。
つまり懸念先行型の下落と言えます。
PERが主導してすでに株価が下落していた分、目標株価引き下げそのものは今後の株価の動向にあまり関係ないと考えられます。
TSMCの決算が参考になります。
TSMCの今年通期の増収率見通しを上方修正しており、業績悪化を過度に懸念し過ぎる必要はないと考えます。
さらにアナリストの予想EPSが前期比でプラスからマイナスに転じると、次の四半期にはSOX指数が反発しやすいという過去の経験則もあります。
4-6月期はまさにマイナスに転じた期であり、7-9月期の半導体株反発に期待が持てると考えています。

原油価格下落でアメリカ株は

2022年7月14日(木)Newsモーニングサテライト

野村グループ 草田裕紀さん

原油価格下落でアメリカ株は
今日のCPI発表後のバイデン大統領のコメントにもあるように6月中旬からガソリン先物の下落に追随する形で、米国のガソリン小売価格もおよそ1カ月下落を続けています。
景気後退が意識されることに加え、価格高騰によるガソリン消費が低下していることが要因です。
EIA、アメリカエネルギー情報局によると4月から7月第1週までのアメリカのガソリン消費量は平均で日量890万バレルであり、これは2021年の同時期よりおよそ3%減少したとされています。
原油価格の下落に合わせるようにグロース株がバリュー株をアウトパフォームしています。
例えば、エネルギーセクターと情報技術セクターを見比べると、原油価格が下落し始めた6月中旬に年初来のトレンドが反転して情報技術セクターが底打ちしたように見えます。
これは原油価格が下落しているためとの見方ができますが、このままグロース株がバリュー株をアウトパフォームするトレンドが続くかは疑問です。
そもそも今回の原油価格の上昇は供給サイドによる影響が大きく、見通しは非常に不透明になっているためです。
EIAなどの見通しにあるように原油価格がしばらく下がりにくいと考えるならば、まだ情報技術セクターよりはエネルギーセクターへの投資妙味は大きいと考えています。

アメリカ 4-6月期決算の見通しは

2022年7月13日(水)Newsモーニングサテライト

マキシム・グループ 久野誠太郎さん

アメリカ 4-6月期決算の見通しは
企業業績への慎重な見方が増えています。
民間の調査会社、ファクトセットによるとS&P500の4-6月期の1株利益予想は前年比4.3%増、2020年10-12月期の4.0%増以来の低い伸びが予想されています。
ただし、原油高を追い風にエネルギー関連が237%、およそ3.4倍の増益予想となっていて、それを除くベースでは4.1%の減益が見込まれています。
金利上昇を受けて住宅ローン事業の低迷、株安によるトレーディング部門の不振が予想され、金融関連は11セクター中で最大の23.9%の減益が見込まれています。
特に景気先行き懸念を示す貸倒引当金の積み増しが利益を圧迫することです。
去年4-6月期の74億ドルの戻し入れに対し、今年4-6月期は45億ドルの積み増しが予想されています。
また、一般消費財サービス関連が10.5%減益予想と3月末時点での13.5%増から大幅に引き下げられています。
インフレ加速による消費者動向の変化で、小売り大手のターゲットやアマゾンドットコムの業績見通しが引き下げられたことが要因です。
7-9月期には10.2%増益、10-12月期は9.4%増益が予想されており、景気後退への懸念を離婚できた市場と利益予想に乖離があると指摘されています。
業績見通しが市場予想を下回っても株価が既に織り込み済みならば、株価の下げ幅は限定的、あるいは反発する可能性も考えられます。
相場の先行きを占う上で、どのような株価の反応になるのか注目です。

アメリカ 株の景気後退織り込みは

2022年7月12日(火)Newsモーニングサテライト

第一生命(DLI NORTH AMERICA) 宿谷俊樹さん

アメリカ 株の景気後退織り込みは
直近1カ月ではISM景気指数など景況感が悪化し、スポーツ用品大手のナイキなど一部の企業が投資家の期待を下回る業績予想を発表しています。
こうした中、クレジット市場においてはハイイールド債のクレジットスプレッドは景気後退懸念が強まった2018年後半と同水準まで拡大しており、一定程度景気後退を織り込んでいるとみられます。
一方で株式市場ではS&P500の予想PER、株価収益率は足元で約16倍まで低下し、株価も年初からおよそ20%程度下落していますが、景気後退の織り込みはまだ十分でないと考えています。
S&P500のリスクプレミアムは予想PERの逆数である予想益回りから10年債利回りを引いて計算され、債券と比較して株価の割高感を分析するものですが、数字が小さいほど株式が割高なことを示唆しています。
現在、S&P500のリスクプレミアムは3%程度で、2017年以降の平均的な水準ですが、過去景気後退が懸念された2015年や2018年にはリスクプレミアムは4.5%程度まで高まっていることから、現在の株価は景気後退を織り込んでいないと言えます。
今後7月下旬から第2四半期の決算発表が本格化しますが、インフレや消費者マインド悪化の影響を受けて決算は投資家の期待を下回る可能性が高く、決算発表をきっかけに株価は短期的に下落する可能性が高いと考えています。

医薬品業界が景気後退に強い?

2022年7月8日(金)Newsモーニングサテライト

大和証券CMアメリカ シュナイダー恵子さん

医薬品業界が景気後退に強い?
医薬品は景気減速やインフレの影響を受けにくく、リセッション耐性が強いセクターです。
また、今年後半には大きなイベント、中間選挙を控え、共和党の巻き返しが予想されます。
民主党が掲げる薬価引き下げは実現困難とみられ、株価にとって追い風です。
そして、過去2年はコロナ禍で医療のリソースがコロナ対策に集中した反動もあり、医療の正常化は業績の押し上げ要因です。
2030年までの売上成長が業界トップと予想されるイーライリリーの株価は過去最高値圏にあります。
糖尿病や肥満治療薬の開発が順調に進んでいるほか、先月は円形脱毛症の経口治療薬がアメリカのFDA、食品医薬品局に承認されました。
この病気はアカデミー賞授賞式で俳優のウィルスミス氏が病気を患った妻を侮辱され、司会者を殴ったことでも社会的に認知度が高まっています。
また、メルクは主力のがん治療薬、キイトルーダの製品改良が業績のドライバーです。
特に外来のがん患者にとっては利便性が重要で、現在、3週間ごとに45分かかる静脈注射を2分に短縮する革新的な製剤法と装置を開発中です。
7月も大幅利上げが続き、経済が減速する中、当面は薬品などディフェンシブ性が高い銘柄が安全な投資先として資金を集めると見ています。

広がるオンショアリング

2022年7月7日(木)Newsモーニングサテライト

米国みずほ証券 兼松渉さん

広がるオンショアリング
オンショアリングは特に半導体の生産で目立っています。
この1年間でインテルは約200億ドル超を投じ、オハイオ州に新たな半導体工場を建設することを明らかにしたほか、台湾のTSMCはアリゾナ州に120億ドル、韓国のサムスン電子はテキサス州に170億ドルを投じ、それぞれ大規模な半導体工場を建設すると発表しています。
もっともこういった動きは半導体業界だけではなく、自動車から製鉄業界まで幅広い分野でみられています。
アメリカの国税調査局は集計する製造業の建設支出額、つまり工場建設の支出額は確かに堅調な伸びを見せていることがわかります。
この数年間の間にまず、トランプ前政権が仕掛けた米中貿易戦争、そして、続いて新型コロナの問題、そして、今年、ロシアによるウクライナ侵攻と世界貿易に支障をきたす要因が相次いでいることが背景にあります。
アメリカの製造業は中国のロックダウン、都市封鎖の影響で部品の調達や在庫の管理が困難なったほか、燃料費の上昇に伴った輸送コストの急騰などサプライチェーン問題に直面しています。
それだけに各社はアメリカの消費者により近いところで生産体制を整えたいと考えています。
もちろんこういった動きは米国経済にとってプラスなのですが、アメリカでは人件費が高いことから、このオンショアリングによりコストが増えて、価格上昇につながり、足元のインフレをさらに悪化させてしまうリスクもあります。
今後はアメリカの製造業における生産性の改善、業務の効率化に向けて産業用ロボットやソフトウェア、AI、人工知能などへの投資がさらに重要になると考えています。

税収67兆円で最高 でも歳出142兆円の半分

歳出総額は142兆円を超え、67兆円の税収では半分にも満たない。
税収増で過去最大となる8兆円分の国債発行を取りやめたが、歳出増に追いつかない。
税収は好調だが、新型コロナウイルス対策の予算が膨らみ、歳出の半分を賄えない状況が続く。
経済対策の規模を優先した予算編成の結果、借金として重くのしかかり、将来世代の負担となる。

アメリカ 半導体 下方修正の兆し

2022年7月6日(水)Newsモーニングサテライト

米国みずほ証券 川尻賢弥さん

アメリカ 22年上半期は大幅下落
2022年上半期のダウは15.3%下落し、下落率は60年ぶりの大きさとなりました。
ハイテク株の比率が高いナスダックの下落率は29.5%とさらに大きく下げています。
相場全体が何両か繋がるジェットコースターをイメージするとハイテク株はいわばその先頭車両にあります。
先頭車両が先んじて下り坂を下り、ディフェンシブ名がえらがそれを追っています。
そのため相場全体の次の方向性を見定めるにあたり、ハイテク株の動向は引き続き注目すべきだと考えています。

アメリカ 半導体 下方修正の兆し
SOX指数の下落率は上半期35.2%ととりわけ大幅な下落となりました。
半導体業界が今後、持ち直すためにはこれから発表される4-6月期の決算において業績に対する市場の期待値がリセットされる必要があると考えています。
先週、いち早く決算を発表した半導体メモリーのマイクロンテクノロジーは今回、足元で需要環境が弱まったことを指摘しました。
このような弱さを認める動きは今後、半導体業界に広がっていくと想定しており、同時にアナリストらによる下半期の業績見通しの下方修正が始まる兆しと見ています。
このような下方修正が市場で十分に織り込まれた後にようやく過度な悲観が薄らいでいくシナリオなら、買い手が戻ってくるまでにはまだしばらく時間を要すると思います。
全体として相場のジェットコースターは坂を下っており、底打ちを議論するにはまだ早いかもしれませんが、長期投資を念頭に買うタイミングを探るために決算で示される各社の今後の見通しが注目となります。

需給逼迫注意報

都庁では節電のため照明を消す、
この時こそ非常用電源が正常に作動するかを試験する絶好の機会だったのにやらない。
原発の形式ばかりで実際にやらない経験は生かされていない。
企業には非常用電源への切り替え、家庭には蓄電池への切り替えをお願いするのが本来の姿だと思うが、指摘する声は全く聞こえてこない。

アメリカ 防衛企業も動き活発に

2022年7月1日(金)Newsモーニングサテライト

岡三証券NY 荻原裕司さん

アメリカ 防衛産業 侵攻で注目集まる
世界で安全保障に対する懸念が一気に高まったことで、今後はNATO加盟国はもちろん非加盟国でもアメリカの武器に対する依存が広がると考えています。
特に武器の輸入で世界1位のインドと2位のサウジアラビアには注目しています。
まずインドは従来、武器の供給をロシアに頼っていましたが、ロシアは欧米による制裁で半導体などの輸入が制限されています。
そのため武器の生産が滞る影響が懸念され、インドは相対的にアメリカから武器を輸入するケースが増えると考えています。
また、ウクライナの戦地からはロシア製のミサイルなどの品質が低いとの報告もあることなどから、一部ではロシア製の武器が敬遠される動きも出ると見ています。
サウジアラビアはすでにアメリカなどの輸入比率が高いですが、バイデン政権では人権侵害の懸念から武器の売却を一部凍結するなど消極的な姿勢を示してきました。
ただ、バイデン大統領は今月中旬にサウジアラビアを訪問する予定です。
両国の関係修復が進めば、武器の売却についても姿勢に変化が現れる可能性があると考えています。

アメリカ 防衛企業も動き活発に
5月にはボーイングが、6月にはレイセオンテクノロジーズが首都ワシントン周辺に本社を移転すると発表しました。
これでアメリカの5大防衛企業すべてがワシントンに集結することになります。
移転する企業はアメリカ政府との関係をより深められることから、ロビー活動が一層効果的になるとみられます。
ウクライナ侵攻をきっかけに年初から堅調な推移をしてきた防衛関連株ですが、アメリカへの武器依存が高まるという長期的な成長ストーリーを見込んで、市場の関心も引き続き高い状況が続くと考えています。

« 2022年6月 | トップページ | 2022年8月 »

2022年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ