広がるオンショアリング
2022年7月7日(木)Newsモーニングサテライト
米国みずほ証券 兼松渉さん
広がるオンショアリング
オンショアリングは特に半導体の生産で目立っています。
この1年間でインテルは約200億ドル超を投じ、オハイオ州に新たな半導体工場を建設することを明らかにしたほか、台湾のTSMCはアリゾナ州に120億ドル、韓国のサムスン電子はテキサス州に170億ドルを投じ、それぞれ大規模な半導体工場を建設すると発表しています。
もっともこういった動きは半導体業界だけではなく、自動車から製鉄業界まで幅広い分野でみられています。
アメリカの国税調査局は集計する製造業の建設支出額、つまり工場建設の支出額は確かに堅調な伸びを見せていることがわかります。
この数年間の間にまず、トランプ前政権が仕掛けた米中貿易戦争、そして、続いて新型コロナの問題、そして、今年、ロシアによるウクライナ侵攻と世界貿易に支障をきたす要因が相次いでいることが背景にあります。
アメリカの製造業は中国のロックダウン、都市封鎖の影響で部品の調達や在庫の管理が困難なったほか、燃料費の上昇に伴った輸送コストの急騰などサプライチェーン問題に直面しています。
それだけに各社はアメリカの消費者により近いところで生産体制を整えたいと考えています。
もちろんこういった動きは米国経済にとってプラスなのですが、アメリカでは人件費が高いことから、このオンショアリングによりコストが増えて、価格上昇につながり、足元のインフレをさらに悪化させてしまうリスクもあります。
今後はアメリカの製造業における生産性の改善、業務の効率化に向けて産業用ロボットやソフトウェア、AI、人工知能などへの投資がさらに重要になると考えています。
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