2010年9月18日放送 NHK BS1 COOL JAPAN~発掘!かっこいいニッポン
ステージ
慶応義塾大学 中村伊知哉 教授
自分の意見を言うということと、何かになり切って芸をすることとちょっと違うのかもしれないですね。欧米だと、パーティの時にみんなで踊ったり、みんなで歌ったりするんですけど、日本の場合は、宴会ということになると、誰か何かやれよということになって、舞台が用意されると披露する、これが一種日本のスタイルなんですね。そのように、実は昔から日本人にとって舞台って身近だったんですよね。
親が一生懸命になるのは、幼い時からちゃんとした舞台を経験させることで、最後までやり遂げることとか、みんなで一緒に頑張ることっていう、そういう教育的な意味もあるからですよね。昔から日本のお稽古事には欠かせない躾の要素なんですね。
落語にしろ、相撲にしろ、早い時間から観に行って、駆け出しの若手を見る楽しみというのがありますよね。有名になった時に、あいつ、駆け出しのころから知っているんだよと、さも自分が育てたかのような気になって楽しむという、いわば余裕の文化というのがありますね。舞台に立つ、スタートするということだったら、日本は案外寛大かもしれないですけれども、そこから育てるというのが大変なんですね。
舞台とか、ステージというと、海外のほうが盛んというイメージもあるんですけれども、案外こうやって眺めてみると、日本ならではのオープンなスタイルとか、とっても豊かな文化というのがあるんだなあというのが改めて勉強しました。
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