NAFTA北米自由貿易協定の見直しなどメキシコ産の製品には逆風が吹いていますが、仮に関税が実施されたとしても米国産ビールよりも高い成長が期待でき、ビール業界での存在感はより高まると考えます
2017年5月24日(水)Newsモーニングサテライト
東海東京証券アメリカ 手塚理恵さん
4月新築住宅販売件数は前回3月分が上方修正されており、ほぼ10年ぶりの高水準だったことから、その反動が大きく、今回の減少は一時的と見ています。トレンドとしては新築住宅販売の拡大は続いているといえ、中でも在庫水準の低さに注目しています。4月は住宅販売の5.7カ月分と需給ひっ迫の目安とされる6カ月分を下回っており、需要も引き続き旺盛であることがうかがえます。
先週発表された住宅建設業者の景況感を示すNAHB住宅市場指数は足元で住宅バブル期並みの水準に達しています。在庫が低水準にある中、確実に住宅需要が増加している現在のビジネス環境はレナーや今日決算を発表したトールブラザーズなどアメリカの住宅建設業者にとってこの上ない状況と言えそうです。
アメリカのビール販売量は今後も増加すると予想されていますが、アメリカ産ビールの減少が続く一方で、輸入ビールが牽引していくとみられます。アメリカ人の好みが大量生産される従来のビールから別のところに移っていることが背景にあるようです。ビール会社は輸入ビールなどの構成比を拡大されています。
輸入ビールの銘柄を見ると、モデロやコロナなどメキシコ産が中心で、このところのヒスパニック系人口の増加が後押ししていると考えています。現在、アメリカ国民の6人に1人がヒスパニックであり、そのうち64%がメキシコ出身です。ヒスパニック系の人口は2025年には2010年のおよそ2倍になると予想されています。
たとえばアメリカのアルコール飲料会社コンステレーションブランズは2013年にメキシコ産輸入ビール、コロナの北米での販売権獲得をはじめ、アメリカの人口動態や好みの変化を見越しての買収や出資を繰り返しています。株価も年初来で20%上昇と史上最高値を更新しています。ビール市場の企業別シェアを見ても、他のブランドが縮小傾向にある中で、着実にシェアを伸ばしています。NAFTA北米自由貿易協定の見直しなどメキシコ産の製品には逆風が吹いていますが、仮に関税が実施されたとしても米国産ビールよりも高い成長が期待でき、ビール業界での存在感はより高まると考えます。
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