一つの国が頑張るのも、一つの村が頑張るのも、頑張っている限りにおいて、同じように尊い
2009年7月16日放送 NHK総合 知る楽選 歴史は眠らない
県境の謎を行く 第4回 完全飛び地の誇り
地域経済アナリスト 藻谷浩介さん
ああいう人口500人ちょっとの小さい村というのは、今、日本では大変厳しい状態です。それは、財政がそれだけでは成り立たない仕組みになっていますので、多くの場合は、より大きい町に合併されて、その中の一地区としてやっていくようにという流れだったわけです。しかし、北山村は和歌山県の飛び地で、必死の努力をしているわけです。そういう取り組みを見て、じゃあ、村の財政が立ちゆくか、生活が立ちゆくのか、それは別の問題ですけれども、実は合併しても同じなんですよね。合併した集落が消えずに残っていくかどうか、それは結局、ここに根差して頑張るぞという人たちがいて、さらに彼らが頑張るだけの支えとなるような、その地域独自の産業や暮らし方が残せるかにかかっている。僕はこういう小さい村に来る度に思う。小さい村というのは、実は日本の象徴なんだと。要するに、500人の人がここで生きていきたいという思いを我儘だと考えるか。だったら、日本が1億人の人が、この資源も何もない地震列島の上で生きていくのも我儘なんですよね。人間って、所詮我儘なものなんだ。そういうわがままな思いを何とか努力で実現しようとすることは、尊いことだ。だから、一つの国が頑張るのも、一つの村が頑張るのも、頑張っている限りにおいて、同じように尊いんだって、僕は思うんですね。
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